前回の記事では
$3C $(黒鉛)+$4H_2 $(気)=$C_3H_8 $(気)+QKJ
この反応の反応熱Qを、次の熱化学方程式(1)~(3)を使って求めると、
何KJになりますか?
$C $(黒鉛)+$O_2 $(気)=$CO_2 $(気)+394KJ・・・(1)
$H_2 $(気)+$\frac{1}{2} $$O_2 $=$H_2O $(液)+286KJ・・・(2)
$C_3H_8 $(気)+$5O_2 $(気)=$3CO_2 $(気)+$4H_2O $(液)+2220KJ・・・(3)
という問題を裏技を使って素早く簡単に解く方法について
解説しました。
⇒熱化学方程式を裏技で圧倒的に簡単に解く方法をコッソリ紹介!
裏技を使うと実際に速く解けますが
どうしてこんなに簡単に解けるのでしょう?
今回は正統派の解き方をします。
・代入法
・加減法
があります。
検索してみると『代入法』がよく出てきますが。
加減法はあまり出てこない印象です。
ただどちらかというと
加減法の方が速く解ける傾向にあります。
なので、個人的には加減法をおすすめします。
私も受験生時代は加減法で解いていました。
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前回解説した裏技による解法も加減法を応用した解き方です。
熱化学方程式の解き方(加減法)
$3C $(黒鉛)+$4H_2 $(気)=$C_3H_8 $(気)+QKJ
この反応の反応熱Qを、次の熱化学方程式(1)~(3)を使って求めると、
何KJになりますか?加減法を使って解いてください。
$C $(黒鉛)+$O_2 $(気)=$CO_2 $(気)+394KJ・・・(1)
$H_2 $(気)+$\frac{1}{2} $$O_2 $=$H_2O $(液)+286KJ・・・(2)
$C_3H_8 $(気)+$5O_2 $(気)=$3CO_2 $(気)+$4H_2O $(液)+2220KJ・・・(3)
まず求める式に合わせることを意識しましょう。
「あぁ、こんな感じの式なんだ」って感じです。
次に求める式の一番左側$3C $(黒鉛)になるにはどうすればよいか?考えましょう。
条件の式の(1)を3倍すればよいですね。
(1)の一番左端は$C $(黒鉛)なので、
求める式の$3C $(黒鉛)にするためには
条件式(1)の$C $(黒鉛)が$3C $(黒鉛)になればよいわけですからね。
(1)×3をしますよ。
求める式$3C $(黒鉛)+$4H_2 $(気)=$C_3H_8 $(気)+QKJ
$C $(黒鉛)+$O_2 $(気)=$CO_2 $(気)+394KJ・・・(1)×3
すると
$3C $(黒鉛)+$3O_2 $(気)=$3CO_2 $(気)+1182KJ・・・(1)
となりました。
次に求める式の$4H_2 $(気)になるように条件式(2)を4倍しましょう。
条件式(2)の$H_2 $(気)$を$4H_2 $(気)$にするためです。
求める式$3C $(黒鉛)+$4H_2 $(気)=$C_3H_8 $(気)+QKJ
$H_2 $(気)+$\frac{1}{2} $$O_2 $=$H_2O $(液)+286KJ・・・(2)×4
すると
$4H_2 $(気)+$2O_2 $=$4H_2O $(液)+1144KJ・・・(2)
となりますね。
最後に求める式の右辺$C_3H_8 $(気)に合わせるために(3)を変形しましょう。
求める式も(3)も$C_3H_8 $(気)の係数は1なので掛け算は不要。
ただ(3)の$C_3H_8 $(気)は左辺にあります。
なので、(3)の左辺と右辺を逆にしましょう。
求める式$3C $(黒鉛)+$4H_2 $(気)=$C_3H_8 $(気)+QKJ
$C_3H_8 $(気)+$5O_2 $(気)=$3CO_2 $(気)+$4H_2O $(液)+2220KJ・・・(3)
(左辺と右辺を入れ替える)
すると
$3CO_2 $(気)+$4H_2O $(液)+2220KJ=$C_3H_8 $(気)+$5O_2 $(気)・・・(3)
となりますね。
以上変形した条件式を全部足しましょう。
$3C $(黒鉛)+$3O_2 $(気)=$3CO_2 $(気)+1182KJ・・・(1)
$4H_2 $(気)+$2O_2 $=$4H_2O $(液)+1144KJ・・・(2)
$3CO_2 $(気)+$4H_2O $(液)+2220KJ=$C_3H_8 $(気)+$5O_2 $(気)・・・(3)
足し算すると
$3C $(黒鉛)+$3O_2 $(気)+$4H_2 $(気)+$2O_2 $+$3CO_2 $(気)+$4H_2O $(液)+2220KJ=$3CO_2 $(気)+1182KJ+$4H_2O $(液)+1144KJ+$C_3H_8 $(気)+$5O_2 $(気)
となります。
普通の方程式みたいに計算しましょう。
たとえば、左辺の$3O_2 $(気)と$2O_2 $を足すと$5O_2 $(気)となり、
右辺の$5O_2 $(気)と相殺でき、消えますね。
こんな感じで計算していくと以下のようになりますね。
$3C $(黒鉛)+$4H_2 $(気)+2220KJ=$C_3H_8 $(気)+1144KJ+1182KJ
さらに左辺の+2220KJを右辺に移項して
$3C $(黒鉛)+$4H_2 $(気)=$C_3H_8 $(気)+1144KJ+1182KJー2220KJ
これで求める式と同じになりましたね。
$3C $(黒鉛)+$4H_2 $(気)=$C_3H_8 $(気)+106KJ
求める式は
$3C $(黒鉛)+$4H_2 $(気)=$C_3H_8 $(気)+QKJ
計算した式は
$3C $(黒鉛)+$4H_2 $(気)=$C_3H_8 $(気)+106KJ
よってQKJ=106KJ
となり、求める反応熱は106KJと解答できました。
前回解説した裏技と同じ数字になりましたね。
前回解説した裏技は熱化学方程式の
『数字以外のところを』わざわざ書くのをやめるという方法でした。
加減法による熱化学方程式の解き方まとめ
(1)求める式に合わせることを意識する
(2)求める式の一番左側$3C $(黒鉛)になるように(1)を3倍する
みたいに求める式に条件式を変形して合わせていく
(3)以上変形した条件式を全部足しましょう
(4)出てきた数字が反応熱です
以上で解説を終わります。