前回までの記事で発熱反応と吸熱反応について詳しく解説しました。
そして発熱反応と吸熱反応が起こる身近な例をご紹介しました。
⇒吸熱反応の身近な例
⇒発熱反応が発生する身近な例
では、発熱反応と吸熱反応って何が違うのでしょう?
どういう時に発熱して、どういう時に吸熱するのでしょう?
エネルギーという観点から説明してみたいと思います。
そのために、今回の記事ではエネルギー図や
熱化学方程式の書き方もわかりやすく解説していきますので
最後までご覧いただけるとうれしいです。
エネルギー図と熱化学方程式|発熱反応
まず発熱反応が起こるときから考えていきましょう。
エネルギー図を書いてみますね。
上の図がエネルギー図です。
エネルギー図というのはエネルギーの高さを表現した図です。
上に行けばいくほど、ステージが上がれば上がるほど
その物質が持つエネルギーが大きくなる(高くなる)ということになります。
たとえば、上記図をみてほしいのですが、
Xという物質があったとしましょう。
Xは反応前の状態です。
Xは反応後にYに変化したとしましょう。
エネルギーが高い状態Xからエネルギーが低い状態Yに反応が進むとき、
どうなるでしょう?
もともと持っていたエネルギーは高く、
反応後の方がエネルギーが低い場合は
差に相当する分(余分な分)が外に出ていくことになりますね。
このとき、発熱反応が起こるといえます。
外にエネルギーが放出される=発熱するということです。
エネルギーの高い状態からエネルギーの低い状態に
変化するとき発熱することになります。
ところで発熱量や吸熱量というのはKJ(キロジュール)とかJ(ジュール)という単位で表します。
以前はCal(カロリー)やKCal(キロカロリー)を使っていました。
もしXがYになるとき、Q(KJ)だけ発熱したとしましょう。
これを表現したい場合、どう表現したらよいでしょう?
XがYになる場合、
X⇒Y
と矢印(⇒)で表現しますね。
でも、反応熱を付け足した形で表現する場合、
発熱する、吸熱するということも含める場合は
矢印(⇒)はNGです。
イコール(=)で書くことになります。
そして発熱する場合はQ(KJ)と書きます。
なので、
X=Y+Q(KJ)
と書くことになります。
これが熱化学方程式です。
反応熱を付け足した化学反応式を熱化学方程式といいます。
方程式ですからイコール(=)で書きます。
では次に吸熱反応を考えていきましょう。
エネルギー図と熱化学方程式|吸熱反応
吸熱反応というのは、変化するときに熱を取り込む反応ですね。
エネルギーを取り込むということです。
つまり、吸熱反応が起こる場合は
エネルギーの低い所がスタートになって、
低い所から高い所に向かう時が吸熱するときになります。
反応前と反応後を比較した時、
エネルギーが低い状態からエネルギーが高い状態に進みます。
よりエネルギーが高いところの向かうには不足分だけもらわないといけませんね。
これが吸熱反応が起こるときです。
つまり、エネルギーが低い状態からより高い状態に変化するときは
不足分をもらう、吸熱する必要があるわけですね。
足りない分を外から熱の形でもらってきます。
これが吸熱反応です。
ここではQ´(ダッシュ)(KJ)もらってくると考えていきましょう。
ではXがYに変化するとき
Q´(KJ)だけ吸熱するわけですが、
どんな形で熱化学反応式として表現できるでしょう?
X=YーQ´(KJ)
Q´(KJ)吸熱するということを表現するにはマイナス(ー)にすればOKです。
こうやって吸熱反応を表す熱化学方程式を作ることができます。
これ移行してみると理解しやすいでしょう。
右辺のーQ´を左辺に移行すると、
X+Q´=Y
と表現できますし、見やすいですよね。
でも、基本的に熱化学方程式において反応熱は右辺に付け足すことになっています。
なので、吸熱反応だったらマイナスで右辺につけるようにしましょう。
-Q´(KJ)という形で。
エネルギー図と熱化学方程式|まとめ
こんな感じで発熱反応とか吸熱反応はエネルギーの大小関係で決まります。
反応前の方がエネルギーが高い場合は発熱しますし、
反応後の方がエネルギーが高い場合は不足分をもらうので吸熱することになります。
これを表現したのが熱化学方程式でイコール(=)を使います。
発熱するならプラス(+)、吸熱するならマイナス(ー)で表現するということです。
では、もう少し詳しく熱化学方程式の書き方を次回解説します。
⇒熱化学方程式の書き方(ルール)をわかりやすく解説