「半反応式の問題がまったく解けない!」
と思っている方は多いです。
化学が全くわからない…
半反応式とかまじで?なんですが((— コイル (@coil____OwO) March 7, 2022
しかも半反応式を理解せずに暗記するのはかなり大変です。
化学基礎の半反応式のところ。
酸化剤とか還元剤がどう変わるかってこれ、覚えるしかないんか?量膨大すぎて死にそうなんだが。
何かアドバイス頂けたら嬉しいですm(_ _)m— ∫ f(Sanada Sho)dx (@shosanadastudy) March 8, 2022
そこで今回の記事では半反応式の問題を一緒に解きながら
半反応式の作り方についてもあわせて解説していきたいと思います。
あと、そもそも半反応式って何?
と定義が分からない方は先にこちらの記事をご覧ください。
⇒酸化剤と還元剤語呂を使った覚え方(半反応式についても解説)
半反応式の作り方が分かったら次は酸化還元反応式の作り方に進んでくださいね。
⇒酸化還元反応式の作り方についてわかりやすく解説
Contents
半反応式の作り方
問題が解けるようになるには
まずは半反応式の作り方を理解する必要があります。
野球の試合で勝つために、野球のルールを覚えることと同じです。
ルールを知らないのに戦えませんからね。
火災対応の前提ルールを知らない人間が何回訓練しても意味ない。野球のルール知らないけど見よう見真似で試合に出ているようなもの。
自分で考えてルールを読み解く力が無いなら、マニュアルや教本読んで質問しようね。
小隊長何年やねん。
— milkboy (@milkboy34877289) September 10, 2020
小学生の時ルール知らないって言ったのに人数足りないからと地区の野球試合に出させられて打って走る場所も分からないから呆然と立ち尽くしていたら監督さんに
「お前ほんとにルール知らんのか!バカかお前は!」
と怒鳴られながらバッドでヘルメット殴られた。
それから野球に拒絶反応しかない— ひなた (@hinata1078) January 22, 2021
半反応式の作り方(1)反応前後の化学式をまず書け!
反応前後の化学式は暗記です。
語呂合わせで覚える方法を前回の記事で解説したので、
まだ覚えていない方は先にこちらをご覧ください。
⇒酸化剤と還元剤語呂を使った覚え方
酸化還元の半反応式は反応物と生成物は暗記が前提
(反応物)→(生成物)
と式を書いたら、
①酸素原子が足りない方に水を加えて数合せ
②水素原子が足りない方にプロトンを加えて数合せ
③電荷の偏りを解消するために電子を加えて数合せ
これで完成!!— 桜姫 (@yhwh_oki) February 16, 2022
たとえば、こういうのです。
$MnO_4^{ー} $⇒$Mn^{2+} $
上記式はまだ半反応式ではありません。
半反応式の前段階です。この式は暗記です。
ポケモンのキャラクターをいっぱい暗記できる人ってすごいと思います。
上記式を暗記するのはポケモンのキャラを覚えるより
数が少なくて簡単ですよ。
子供にとって最初に大量に暗記しるものがポケモンだったりするんだよな
ってフジテレビの番組を見て思った— (GREEN)DAKARA NANY (@so_dumping01) March 1, 2022
半反応式の作り方(2)酸素原子の数を左辺と右辺で揃える!
暗記した変化前後の化学式を書き出したら
次に酸素原子の数を左辺と右辺で揃えます。
両辺で酸素原子の数をそろえるわけです。
そのために、$H_2O $(水)を加えます。
酸素原子の数をそろえるために$H_2O $という化学式を付け足すわけですね。
半反応式の作り方(3)左辺右辺の水素原子の数をそろえよう!
次に水素原子の数を左辺と右辺でそろえます。
水素原子の数をそろえるときに使う化学式は$H^{+} $です。
水素が入っていれば何でもいいわけではありません。
数をそろえるときに使う化学式は決まっているんです。
・酸素の数をあわせるときは$H_2O $
・水素の数をあわせるときは$H^{+} $
でそろえます。
半反応式の作り方(4)左辺右辺のプラスマイナス(電荷)の数をそろえる
最終段階です。
両辺の電荷をそろえるために電荷の大きい側に$e^{-} $を加えます。
特に上記の『電荷の大きい側に』というところは重要ですよ。
それでは一緒に問題を解いていきましょう。
半反応式の問題を一緒に解いていこう!
半反応式の問題(1)過マンガン酸イオン
$MnO_4^{ー} $(過マンガン酸イオン)⇒$Mn^{2+} $(二価のマンガンイオン)
この反応を、電子を含むイオン式で表しなさい。
上記問題は過マンガン酸イオンが二価のマンガンイオンになっています。
これは変化前後の式で暗記しておいてほしい式です。
語呂合わせについてはこちらで解説しています。
⇒酸化剤と還元剤語呂を使った覚え方
では解いていきましょう。
左辺と右辺で酸素の数をそろえましょう。
これは『半反応式の作り方(2)酸素原子の数を左辺と右辺で揃える!』で解説しましたね。
$MnO_4^{ー} $(過マンガン酸イオン)⇒$Mn^{2+} $(二価のマンガンイオン)
左側に酸素$O $が4つありますね。
右側には1つもありませんね。
だから、右辺に$H_2O $(水)を4つ足せばよいわけです。
$MnO_4^{ー} $⇒$Mn^{2+} $+$4H_2O $
これで酸素原子の数がそろいます。
次に『(3)左辺右辺の水素原子の数をそろえよう!』をやってみますね。
$MnO_4^{ー} $⇒$Mn^{2+} $+$4H_2O $
左側には現状、水素原子が1つもありません。
でも、右辺にはさっき水を足したので
8個の水素原子が存在しますね。
だから8個、水素イオンを左辺に足さないといけません。
よって
$MnO_4^{ー} $+$8H^{+} $⇒$Mn^{2+} $+$4H_2O $
となります。
これで水素の数がそろいました。
最後に『(4)左辺右辺のプラスマイナス(電荷)の数をそろえる』
をやったら完成です。
$MnO_4^{ー} $+$8H^{+} $⇒$Mn^{2+} $+$4H_2O $
$MnO_4^{ー} $(過マンガン酸イオン)はマイナス1という電荷を持っています。
一価の陰イオンです。
それに$8H^{+} $だからプラス1が8個あるので+8という電荷になります。
$Mn^{2+} $はプラス2という電荷を持ちますね。
$4H_2O $は電気的にはプラスマイナス0(中性)です。
・$MnO_4^{ー} $・・・マイナス1
・$8H^{+} $・・・プラス8
・$Mn^{2+} $・・・プラス2
・$4H_2O $・・・プラスマイナス0
左辺と右辺で上記電荷の和を釣り合わせます。
左辺はプラス7(プラス8とマイナス1=プラス7)で
右辺はプラス2(プラス2とプラスマイナス0=プラス2)
です。
ルールとしては電荷の大きい方に$e^{-} $を加えます。
$e^{-} $は1個マイナス1という電荷を持ちます。
では$e^{-} $を左辺に何個足せば電荷が釣り合いますか?
左辺はプラス7、右辺はプラス2だから、
左辺に$e^{-} $を5個足せば両辺で電荷が釣り合いますね。
なので、
$MnO_4^{ー} $+$8H^{+} $+$5e^{-} $⇒$Mn^{2+} $+$4H_2O $
となります。
こんな感じで電荷の大きい方に大きい分だけ$e^{-} $を足して
電荷を両辺合わせます。
これで完成です。
半反応式の問題(2)シュウ酸
$H_2C_2O_4 $(シュウ酸)⇒$2CO_2 $(二酸化炭素)
この反応を、電子を含むイオン式で表しなさい。
酸素の数は左辺右辺共に4つですね。
左辺と右辺で酸素原子が同じ数だから、この場合は$H_2O $(水)を
足さなくてOKです。
この場合は『半反応式の作り方(2)酸素原子の数を左辺と右辺で揃える!』
はパスです。
次に水素をそろえましょう。
$H_2C_2O_4 $(シュウ酸)⇒$2CO_2 $(二酸化炭素)
左辺に水素原子が2つ、右辺は水素原子が0。
だから、水素イオンを2個右辺に足しましょう。
$H_2C_2O_4 $(シュウ酸)⇒$2CO_2 $(二酸化炭素)+$2H^{+} $
となりました。
最後に電荷をそろえましょう。
『(4)左辺右辺のプラスマイナス(電荷)の数をそろえる』です。
$H_2C_2O_4 $(シュウ酸)⇒$2CO_2 $(二酸化炭素)+$2H^{+} $
左辺は今電気的には0です。
シュウ酸という分子には電荷はありません。
右辺は$2CO_2 $(二酸化炭素)は電気的には0です。
$2H^{+} $はプラス2です。
なので左辺はプラスマイナス0で右辺はプラス2で
電気的に右辺の方がプラス2だけ大きいですね。
なので、大きい分だけ右辺に電子$e^{-} $を足しましょう。
今回は2個ですね。
$H_2C_2O_4 $(シュウ酸)⇒$2CO_2 $(二酸化炭素)+$2H^{+} $+$2e^{-} $
となります。
大丈夫ですか?
電荷の和が大きい側に電子を足しますよ。
半反応式の問題(3)ニクロム酸イオン
$Cr_2O_7^{2ー} $(二クロム酸イオン)⇒$2Cr^{3+} $
この反応を、電子を含むイオン式で表しなさい。
問題(1)や(2)で半反応式の作り方が分かってきたと思います。
左側のニクロム酸イオンは酸素原子が7個ありますね。
右側は1個もありません。
だから、7分子の水を右辺に足せばOKです。
そうすれば酸素原子の数が揃いますね。
$Cr_2O_7^{2ー} $(二クロム酸イオン)⇒$2Cr^{3+} $+$7H_2O $
次に水素の数をそろえましょう。
14個、右辺に水素があります。
だから、$14H^{+} $を左辺に足しましょう。
$Cr_2O_7^{2ー} $+$14H^{+} $⇒$2Cr^{3+} $+$7H_2O $
となり水素原子の数が揃いますね。
次に電荷をそろえましょう。
『(4)左辺右辺のプラスマイナス(電荷)の数をそろえる』です。
$Cr_2O_7^{2ー} $+$14H^{+} $⇒$2Cr^{3+} $+$7H_2O $
左辺を見ていきましょう。
$Cr_2O_7^{2ー} $の電荷はマイナス2、
$14H^{+} $の電荷はプラス14ですね。
右辺は$2Cr^{3+} $がプラス3が2個でプラス6
$7H_2O $は電気的には0です。
左辺は、マイナス2とプラス14なのでプラス12
右辺はプラス6
だから左辺の方がプラス6だけ大きいですね。
大きい側に大きい分だけ$e^{-} $を足しましょう。
左辺をマイナス6すればいいわけです。$e^{-} $1個はマイナス1なので、
$e^{-} $を6個、左辺に加えればOKです。
$Cr_2O_7^{2ー} $+$14H^{+} $+$6e^{-} $⇒$2Cr^{3+} $+$7H_2O $
となります。
これで半反応式が完成しました。
こんな風にして変化前後の式だけ覚えておけば、
あとは作業として水や水素イオンや電子を付け足して半反応式を完成させることができます。
半反応式の問題(4)オゾン
$O_3 $(オゾン)⇒$O_2 $
この反応を、電子を含むイオン式で表しなさい。
答えは
$O_3 $(オゾン)+$2H^{+} $+$2e^{-} $⇒$O_2 $+$H_2O $
です。
ここまでの内容が理解できれば、
もう半反応式は怖くないはずです。
半反応式の作り方が分かったら次は酸化還元反応式の作り方に進んでくださいね。
⇒酸化還元反応式の作り方についてわかりやすく解説