前回の記事で石鹸のデメリットなどについて解説しました。
⇒石鹸の化学反応式・特徴・デメリットについてわかりやすく解説
石鹸の原料って食料用の油であったりするので、
石鹸を作るってことは食料が減ることにつながります。
また、コストも高くつくわけです。
もう少し安く作れないかな?ってところから
石油から合成洗剤が作られるようになりました。
しかも合成洗剤は石油から作っているので食料が無駄になることがありません。
こんな感じで合成洗剤は石鹸のデメリットをうまくカバーしています。
合成洗剤は水溶液が中性なので
タンパク質汚れにも使えます。
石鹸は使えませんでしたね。
⇒石鹸の化学反応式・特徴・デメリットについてわかりやすく解説
また合成洗剤は硬水中でも泡立ちます。
石鹸は硬水中では泡立ちにくいです。
こんな感じで合成洗剤は安く作れるし
石鹸のデメリットを補う優れものだと考えがちです。
・石鹸と比べて安く作れる
・硬水中でも泡立つ
・水溶液が中性なのでタンパク質汚れにも使える
などがあります。
でも、私が獣医大学の学生のころに学んだのですが、
合成洗剤って環境汚染の問題があるのです。
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今回の記事では合成洗剤と環境汚染の関係について解説します。
合成洗剤と環境汚染の関係
合成洗剤は特に昔の合成洗剤は、
あまり環境にやさしくありませんでした。
石鹸は硬水中で泡立ちにくいというデメリットがあります。
逆にいうと海(一般的にミネラルを多く含むから硬水ともいえる)に排水された時には
石鹸は泡立たないで底に沈んでくれます。
しかも石鹸ってもとは食料(油脂)ですから魚が食べてくれます。
だから石けんは生分解性がよいです。
これは石鹸のメリットになります。
これに対して合成洗剤は海に流れても泡立ったままです。
合成洗剤は海というある意味硬水中でも泡立つからです。
だから合成洗剤が海に流れる結果、赤潮が発生します。
泡だっているとそこの部分の海面温度が変化し、
プランクトンが異常発生したり、逆に死んだりする結果赤潮が発生するのです。
その結果、合成洗剤により環境汚染につながることがありました。
小学生の頃に教わった〝びわ湖の石けん運動〟を思い出しました。淡水赤潮の発生を機に、合成洗剤の使用をやめて粉石けんを使おうという運動です。今も多種多様に活動されていますね🎣🚮👀🔎大切なびわ湖です。 pic.twitter.com/Qp8mZMaQmH
— おかめちゃん (@PEACE80820661) March 17, 2022
1977年に発生した淡水赤潮の原因が合成洗剤に含まれるリンだと判明し、運動は拡大していったそうです。
1978年結成の「びわ湖を守る粉石けん使用推進県民運動 県連絡会議」(後のびわ湖会議)が行政に対策を強く訴え、1980年7月「滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例(富栄養化防止条例)」が成立。
— 葉々-haha-🌟 (@mint_green261) October 12, 2021
滋賀県が制定。1977年に琵琶湖で大規模な淡水赤潮が発生、湖水中のリンが原因とわかり県民は自分たちの力で綺麗にしようとリンを含む合成洗剤をやめ粉石けんを使う石けん運動を開始。1979年滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例施行。1周年を記念し1980年7月1日から記念日となり清掃活動を行う。 pic.twitter.com/CZbrrT5VTL
— おしゃべりなシーズー🦀 (@SZoo2010) July 1, 2021
ここまでは昔の合成洗剤の話です。
でも、現在の合成洗剤というのは開発が進んできていて
かなり環境に負荷がかからないようになっています。
また、そのまま生活排水を海などに流すのではなく、
下水道を通って処理されています。
処理するという過程を含めるなら
合成洗剤の方が石けんよりも環境に優しいのではないか?
という論争が最近では起きています。
半世紀前の合成洗剤なら環境汚染の問題があったんだけど、今は合成洗剤も進歩しちゃったので、環境負荷は石鹸のほうが高いしなあ。まあ、日本の場合下水処理が優秀だから、石鹸使っても今さら環境問題は無いだろうけど。
— RANKA/永崎らんか (@RANKA16) January 15, 2015
ただ海に垂れ流すということであれば石鹸の方が環境に優しいでしょう。
でも、現在は下水処理技術が発達しています。
となると、石鹸と合成洗剤だとどちらの方が環境に悪いかよいか?は
はっきりしたことが言えなくなってきています。
自然が大好きな人にとっては石鹸を推す人が多いですが、
下水管に石鹸のカスがつまりやすいというデメリットもあります。
FBで知人の新妻が環境を考えて食器洗い石鹸を買ったけど上手く洗えないという投稿。私しゃ昔、厳格な生活クラブにいて合成洗剤使うと村八分なるし、石鹸委員に抜擢されちゃって(汗)、全部石鹸使ってた。そしたら、ボロアパートの下水管がカスで詰まって、えりゃーことになった。理想はなり難し。。
— TAB女将 (@TAB_haruko) October 2, 2014
人間の知恵がどんどん自然のものに追いついてきて
少しずつ環境にやさしくなってきた感じです。
あとは個人の考え方で石鹸と合成洗剤を使い分けるしかないでしょう。
以上で解説を終わります。