今回の記事では
天然ゴムと合成ゴムの違いについてわかりやすく解説していきます。
天然ゴムと合成ゴムの違い
ゴムの木の樹皮にナイフなんかで傷をつけると
白い液体が出てきます。
粘性のある液体でラテックスといいます。
この液体をいっぱい取ってきて有機酸などと混ぜると
天然ゴムができます。
天然ゴムの木
ナイフで木の皮をけずると、牛乳のような白い汁が出てくる。これがゴムの原料で、ラテックスと呼ばれる。ラテックスが流れやすくするため、斜めにゴムの木を削ってカップで受ける。
植えてから5~6年位経つとラテックスをとれるようになり、とれる期間は1本のゴムの木で25年~30年位。 pic.twitter.com/6wigrw74AT
— はるな @ タイ最東農村部在住 (@haruuna1028) December 5, 2022
天然ゴムもちろん天然のゴムのことです。
具体的には自然に存在する樹の樹液を精製してできたゴムが天然ゴムです。
化学的にはイソプレンがつながって天然ゴムはできています。
イソプレンの構造式は『馬』と覚えておくと忘れにくいでしょう。
上の画像のようにイソプレンは構造式が馬みたいな形をしているからです。
おはですヽ(^o^)丿テルペノイド基本骨格じゃなくて、テルペン類の基本がイソプレンで馬みたいなのがイソプレン基本骨格!芳香分子。うん、朝テキストで復習して気付いた(;´Д`)今日も良いお天気♡頑張ってきます! pic.twitter.com/17QL1vT1f9
— yochi (@yocchan7luck) March 22, 2014
このイソプレンがつながった形をしているのが天然ゴムです。
さっきの馬を修正して書くと以下のようになります。
これがイソプレンの構造式です。
さっきの馬と見比べてみてくださいね。
ゴムの木から取り出すことができる天然ゴムというのはイソプレンから
二重結合が切れたりしてできたポリイソプレンです。
ポリイソプレンというのは真ん中に
二重結合があるのでシスとトランスが考えられます。
このポリイソプレンには長くつながっている部分が(赤線)同じ側に
くっついているシスと長くつながっている部分が対角線上につながっているトランスがあります。
シス型についてはゴムとしての弾力を持ちます。
ゴム弾性があるということです。
このシス型が天然ゴムです。
飛行機のタイヤは天然ゴムを使わないとなかなかうまくいかないようです。
後で解説する石油から作った合成ゴムだとダメみたいですね。
磨耗が大変早くなる。飛行機用タイヤと言うものは冷え切った状態からいきなり高速で路面に触れるので、未だに天然ゴムを主流として作らざるを得ない。ここで話が逸れるが、タイヤ用合成ゴムは天然ゴムよりも耐久性に勝るものが多いと言われるが温度レンジを定めての話。
— TFR_BIGMOSA(可愛い大きな猫、地球暮らしを楽しむ長期滞在者) (@TFR_BIGMOSA) July 10, 2019
トランスの方に関してはカチカチのゴムになってしまいます。
だからトランの場合はゴルフボールの表面とか
虫歯の治療につかう歯科用充填剤(グッタペルカ)として
利用されます。
ポリイソプレンってなんやっけ?天然ゴム?よな?
んでトランスの方はゴルフボールとかに使われてる硬いやつやっけ?— シュウクリーム (@shu0982) July 27, 2022
この冬のトランスはこれ!歯にグッタペルカを詰めてポリイソプレン力アップ☆
— かきおこ (@mikan45s) February 17, 2012
シス型はシス型でゴム弾性があるといいながらも弾力が弱いです。
そこで弾力を増やすために硫黄を加えて絡めます。
このことを加硫(かりゅう)といいます。
加硫することでからまるのでゴム弾性が向上します。
また、二重結合が多く残っていると困ります。
どういうことか?空気中に存在するオゾンによって
二重結合がつぶされてゴムがボロボロになってしまいます。
ゴムがボロボロになることをゴムの老化といいます。
硫黄を加えると二重結合が潰れるのでゴムの老化を防ぐことができます。
・ゴム弾性が増す
・ゴムの老化を防ぐことができる
ということです。
それから天然もののゴムは
ゴムの木を育てて人の手を使うので人件費や時間がかかります。
なので売るにしてもコストがかかりすぎるということで
「どうにかして石油から作れないかな?」研究されるようになりました。
石油というのはいろんな物質を作れるので魔法の液体なのです。
どうしても天然ゴムしか使えないような飛行機のタイヤは除いて
他のゴムは石油からゴムを作って代用しようと考えました。
イソプレンは馬みたいな形なわけです。
上記構造式の□にしたところにC(炭素)がついていればイソプレンです。
でも、□部分を他のものに変えて合成ゴムを作ることができます。
たとえば□が水素Hならブタジエンになります。
ブタジエンがポリマーになるとポリブタジエンになります。
ポリブタジエンはブタジエンラバー(BR)として世の中に存在します。
ブタジエンラバーで有名なものにスーパーボールがあります。
スーパーボールの質感が好きなのですが、あれはブタジエンラバーというらしいですね。なんですかそれは~。ブタジエンラバー…
— まいこー (@onosatomi) March 12, 2012
スーパーボール第1号初陣 pic.twitter.com/IqSfAIhDWy
— まっちゃ。 (@mkt____sugar) February 26, 2023
それから□の部分がClになるとクロロプレンです。
クロロプレンがポリマーになったものがポリクロロプレンです。
クロロプレンゴム(CR)として有名です。
おはようございます。
道路の凍結❄️が心配な横浜。
車を運転される方はお気をつけ下さい。
そして今日は冷える足先にコチラ⬇️#富士手袋 6034 フットカバーウエットスーツにも使われるクロロプレンゴムの足カバー/足裏滑り止め付/毎年必ずリピート購入される根強い人気商品です💪#防寒対策 pic.twitter.com/Mv8hgtZ91C
— なかじま野毛店⚓️横浜 (@nakanoge) January 6, 2022
他には1,3ブタジエンとスチレンが付加重合によって混ぜ合わせて
できたものをスチレンブタジエンゴム(SBR)といいます。
SBRは車のタイヤや靴底によく使われています。
機械的な力に強いです。
以上のように合成ゴムと天然ゴムでは成り立ちから
用途に至るまでまったく違いますね。
以上、参考にしていただけると幸いです。