以前の記事で異性体とは何か、
例を挙げながら解説したことがあります。
⇒異性体とは?【有機化学必須知識】
⇒光学異性体(鏡像異性体)の書き方についてわかりやすく解説
また、異性体の一種であり構造異性体についても
かなり具体的に解説しています。
⇒構造異性体について例を挙げながらわかりやすく解説
ただ、上記記事を読んで構造異性体ってどんなものなのかわかっても
実際の入試問題でどれが構造異性体なのか?わからないっていう方は多いです。
構造異性体ぜんぜんわからない_(:3 」∠)_
— Norn.S (@keidon0709) February 23, 2019
合ってるかわからない構造異性体を片手に意味不明な問題を解けって?
無理ゲーじゃん定期テストとか知らねえよマジで— お金大好き (@MASUTOMAUSU) May 20, 2021
そこで今回の記事では
もし大学入試の選択問題などで『以下の中から構造異性体を選べ』
みたいなものが出題されたらどうやって構造異性体を見つけるのか、
考え方についてわかりやすく解説していきたいと思います。
構造異性体の見つけ方・考え方
もし以下のような問題があったらあなたはどうやって解きますか?
以下の4つの分子式で構造異性体はそれぞれ何個ある?
・
・
・
・
まず、気をつけないといけないのは問題文に
構造異性体と書かれている点です。
・異性体と書いてあるパターン
・構造異性体と書いてあるパターン
を見分けないといけないということです。
『異性体』と書いてあるところの前に
『構造』がついているかどうかチェックすることは重要です。
どうしてか?というと
・構造異性体
・立体異性体
があるからです。
構造異性体と問題文に書いてあったらそのまま『構造異性体』として
問題を解けばよいわけですが、
立体異性体には
・光学異性体
・幾何異性体
の2つある
からです。
つまり、問題文に『異性体』と書いてあったら構造異性体だけでなく
立体異性体である幾何異性体や光学異性体まで探さないといけないということです。
逆に問題文に『構造異性体』と書いてあったら立体異性体(幾何異性体、光学異性体)を
探さなくてもよいということです。
では実際に問題を解いていきましょう。
もう一度、問題を書きますね。
以下の4つの分子式で構造異性体はそれぞれ何個ある?
・
・
・
・
ここで構造異性体かどうかを見分ける考え方なのですが、
ただ単に炭素や置換基の配列を中心に見るようにするってことです。
あまり複雑に考えなくていいよってことです。
水素は二重結合とか三重結合の判断に利用するだけであって
構造異性体の判断のために書かなくていいってことです。
二重結合や三重結合があるかどうかの見つけ方、考え方は
後で解説しますからね。
ちなみに置換基とは有機化合物の水素部分を他のものに置き換えた(置換した)もののことです。
たとえばベンゼン環のH(水素)部分がOHに変わったら(ここが置換基)、
フェノールになります。
化学やり始めたら紛らわしいのがフェニル基をフェノールの違い!ベンゼンは置換基名でフェニル基と言います!
フェノールはベンゼンにヒドロキシがあるという名称を言います!(慣用名ですね笑)まとめ
左 ベンゼン 別名フェニル基
右 フェノール pic.twitter.com/fcaHUN2oOg
— みち (@kachimi1110) July 15, 2020
まず『
これだったら酸素Oが1個ありますね。
酸素が1個あったらふつうはアルコールかエーテルですね。
また炭素Cは2個あるので
『C-C-O』(アルコール1種類)か『C-O-C』(エーテル1種類)となります。
だから構造異性体は全部で2つですね。
次に『
アルカンの状態だったら
たとえばnが3なら
このアルカンの状態
『
ということは二重結合が2個存在するということです。
水素が2個減るたびに二重結合が1個増える!
だからこの問題ではアルカンと比べて水素が4つ少ないということだから
二重結合が2個存在する(増える)ということになります。
だから『C=C=C』の可能性があるわけです。
あるいは三重結合が1つ存在する可能性もあります。
なぜなら『C=C=C』と=1つで結合の手が2本ですよね。
これが2つあるってことは結合の手が2本×2=4本あるわけなので
『C≡CーC』というパターンだって3本+1本=4本となるからです。
ということで『
では次の問題に行きましょう。
『
アルカンの状態だったら
だからアルカンだったら水素が10だけど、
水素が2個足りません。
ということは二重結合が1個存在するということがわかりますね。
だから

最後の問題。
なので二重結合はありません。
よって、

以上で構造異性体の見つけ方・考え方についての解説を終わります。