前回の記事で単体と化合物の具体例について解説しました。
⇒単体と化合物の例と単体と純物質の違いをわかりやすく解説
単体の具体例として酸素のO2とオゾンのO3を挙げました。
どちらもOという元素記号だけでできていますね。
ただ、酸素の方は酸素原子が2つ、オゾンは酸素原子3つからできていますね。
酸素とオゾンはどちらも酸素原子だけでできていますが、
まったく性質が違います。
まった反応性も違いますし、物質がもっている性質がまったく異なるものです。
オゾンも酸素も同じ元素からできている単体です。
でも、化学的な性質がまるっきり違います。
こういう関係を同素体といいます。
同じ元素からできている単体を略して同素体といいます。
でも性質はまったく違います。
どのように性質が違うのか?
については以下、わかりやすく解説してみたいと思います。
同素体とは?具体例を挙げてわかりやすく解説
同じ元素でできているけど、
性質や構造がまるっきり違うものが同素体ですが、
例を挙げてみますと、、、
$O_2 $・・・酸素
$O_3 $・・・オゾン
大気圏で酸素が紫外線に当たるとO3(オゾン)ができて
オゾン層ができます。
オゾン層は有害な紫外線から私たちを守ってくれています。
O2(酸素)+紫外線(UV)⇒O3(オゾン)
ということです。
でも、構成しているものは酸素原子だけです。
酸素原子が2つあるか(酸素)、3つあるか(オゾン)という違いだけですね。
でもまったく性質が違います。
・酸素・・・色も臭いもない(無色、無臭)
ないと生きていけない(人類にとって必要不可欠な物質)
・オゾン・・・薄いけど青みがかっている(淡青色)、生臭い臭い(特異臭)
人間が吸い込むと粘膜が破壊されたりする(人類にとっては有害な物質)
というくらい酸素とオゾンではまったく性質の異なるものです。
こういう関係のことを同素体といいます。
同素体の具体例として他にも炭素があります。
同じ炭素原子だけからなる単体ですが、
まったく性質が違ってきます。
・ダイヤモンド・・・炭素原子が網目状に複雑に立体的に並んでできた固体(立体網目構造)
・黒鉛・・・鉛筆やシャーペンの芯(見た目が真っ黒)
正六角形で平面的な形になっていて、これが何枚も積み重なった形(平面層状構造)
ところで鉛筆やシャーペンの芯で字が書けますね。
どうして字が書けるのでしょう?
黒鉛というのは炭素が平面層状構造ですが、
力を加えると、その平面がズレて紙の上に付着して文字になっているんです。
つまり鉛筆やシャーペンで字が書けるのは
黒鉛の配列が層状構造になっているからです。
逆に立体網目構造のダイヤモンドでは字は書けません。
他にも例を挙げましょう。
リン(P)という元素にも同素体があります。
・黄リン
・赤リン
があります。
まず黄リンは日常生活で目にする機会はありません。
でも赤リンは普段から目にすることができます。
赤リンはマッチの擦り薬として使われる物質で
マッチ箱の横に塗られている赤色の部分です。
赤リンがもし有害・有毒な物質であれば
当然、マッチ箱の横に塗られたりはしないでしょう。
赤リンというのは人間にとっては無害なものです。
安全であり、安定している物質です。
ところで黄リンというのはリンPが正四面体の頂点に配列しています。
これに対して赤リンというのはリン原子がたくさん集まってできた巨大な固体です。
黄リンというのは普通見ません。
なぜなら危険な物質だからです。
具体的には発火点が低くて空気中で自然発火します。
そして人間の肌にくっつくと体内に取り込まれてしまって
私たちの体に有害な被害を及ぼします。
別の記事で解説しましたが
黄リンは危険物第3類に分類されているくらいです。
⇒危険物の類ごとの性質をわかりやすく解説
なのに赤リンはマッチの擦り薬として使われるもので安全であり、
安定した物質です。
ちなみにどうしてマッチ棒で赤リン部分を擦ると火がつくか知ってますか?
詳しくはこちらで解説しています。
⇒マッチ棒を擦るとどうして火がつくの?化学的にわかりやすく解説
同じリン原子だけからできている固体なのにこれだけ違います。
これが同素体です。
以上で同素体についての解説を終わります。
次に同素体と言葉は似ているけど、全く違う同位体について解説します。
⇒同位体とは?炭素を例に分かりやすく解説