前回の記事でモル濃度とはどういう濃度なのか、
解説しました。
⇒モル濃度とは?わかりやすく解説
今回の記事ではモル濃度の簡単な求め方についてわかりやすく解説します。
結論だけ早く知りたい方は記事の下の方まで飛んで行ってくださいね。
Contents
濃度の求め方にはモル濃度のほかに2つの公式がある!
濃度とはもちろん濃さのことで、化学では3つの公式があります。
濃度の求め方(1)質量百分率(%)
質量百分率の単位はもちろん百分率という名前がついているくらいなので%(パーセント)となります。
化学で大学受験をする方なら
一番一般的な濃度というのはモル濃度(mol/L)です。
でも、世間一般では質量百分率が一番一般的です。
たとえば、くら寿司などでマグロを食べるにしても
「このマグロがいる海の海水のモル濃度は何mol/Lなんだろう・・・」
ってならないと思うんですよ(苦笑)。
普通の会話だと質量百分率を利用することが多いでしょう。
質量百分率(%)というのはすごくシンプル。
でもひっかかるところもあります。
たとえば、食塩水。
この場合、食塩は溶質で水を溶媒といいます。
溶媒とは溶かすもので溶質とは溶けるもののことです。
そして溶液は溶質と溶媒の合わせたものをいいます。
⇒溶媒・溶質・溶液の違いをわかりやすく例を挙げて解説
濃い塩水はうきうき。 pic.twitter.com/HoNYeBOOro
— とんぼ (@tonbo2950) May 30, 2022
たとえば、水100グラムに食塩を50グラムを溶かしたとしましょう。
この食塩水の質量百分率(%)は?と聞かれて、「50%!」と答えたら間違いです。
質量百分率=(溶質÷溶液)×100
なので、食塩50gを食塩水(100g+50g=150g)で割るわけですね。
なので50÷150=0.3333・・・
なので0.33×100%=約33%となります。
濃度の求め方(2)質量モル濃度(mol/Kg)
質量モル濃度の質量は重さで、単位は Kg(キログラム)、
モルはmolですからmol/Kg(1キログラム当たり何モル溶けているか?)となります。
適当に名前がついているわけではありませんから
名前から単位が想像できます。
質量モル濃度の注意点としては重さの単位がKgという点です。
このKgは『溶媒のみ』のKgです。
たとえば食塩水であれば水だけです。
これは定義だから「どうしてだよ!」と突っ込まれても
どうしようもありません。
質量モル濃度というのは使う分野が限られています。
・凝固点降下
・沸点上昇
の2つでしか利用しません。
なのでものすごくマイナーな濃度となっています。
濃度の求め方(3)(体積)モル濃度(mol/L)
どうしてタイトルに(体積)モル濃度と体積に()をつけたと思います?
体積モル濃度はすごく有名なものです。
つまり単にモル濃度といったら体積モル濃度を指すから
あえて体積モル濃度という必要がないからです。
なので体積モル濃度といってもいいし
単にモル濃度といっても大丈夫です。
で、モル濃度の単位はmol/Lで
1リットル当たり何モル溶けているか?を表しています。
質量モル濃度(mol/Kg)の分母は溶媒『のみ』でしたね。
でも(体積)モル濃度の分母は『溶液』全体の体積です。
⇒溶媒・溶質・溶液の違いをわかりやすく例を挙げて解説
ここまでわかったら、
次に実際の問題を使ってモル濃度を求めてみましょう。
モル濃度の簡単な求め方
98.0%の濃硫酸の密度は1.84g/$cm^{3} $です。
この場合におけるモル濃度(mol/L)を求めてください。
ただし硫酸の分子量は98とする。
98.0%の濃硫酸はものすごく危険です。
人の顔が一瞬で溶けるくらいの濃硫酸は一般人は買えません。作るのは金も時間も手間もかかる上に超絶危険です。専門知識がないと死にます😇
もしかけられた場合は服の上からでもなんでもいいのですぐに他の液体(水でもお茶でも)ぶっかけましょう。かなりマシです。
— 🌃 (@so_ie7) May 22, 2022
濃硫酸を希釈するときは、「濃硫酸を」水に少しずつ加えるんだ。水を濃硫酸に加えると溶解熱によって入れたそばから沸騰してしまって非常に危険だ。最悪濃硫酸を浴びてしまうかもな。
— 化学をたしなむ魔理沙bot (@kirisame_kagaku) May 29, 2022
では計算していきましょう。
この問題のポイントは
98.0%の濃硫酸、1.84g/$cm^{3} $という前提条件から
モル濃度(mol/L)という単位に変換できるか?です。
「???」となった方も多いのではないでしょうか?
こういう単位の変換が難しい問題に遭遇したら、
具体的に考える癖をつけましょう。
たとえば、モル濃度の単位はmol/L。
ということは1Lあたり何モルか?って話ですね。
なので、具体的に1L(リットル)として考えると
だいぶ話が簡単になりますよ。
この1Lが仮に水だったら1㎏(1000g)ですよね。
比重が1.0g/$cm^{3} $だからです。
1リットルを$cm^{3} $に変換すると1000$cm^{3} $です。
ということは1.0g/$cm^{3} $×1000$cm^{3} $(1Lのこと)=1000g
ということです。
この考え方も重要です。
どうしてか?というと、水の比重が1.0g/$cm^{3} $に対して
濃硫酸の比重は1.84g/$cm^{3} $と水の1.84倍重いって比較がしやすくなるからです。
・水なら1.0g/$cm^{3} $なので1000$cm^{3} $=1000g
・濃硫酸なら1.84g/$cm^{3} $なので1840$cm^{3} $=1840g
と変換できるわけです。
1Lは1000g=1000$cm^{3} $(ここは暗記です)
1.84g/$cm^{3} $×1000$cm^{3} $=1840gですね。
g/$cm^{3} $に$cm^{3} $を掛け算したらg/$cm^{3} $の分母$cm^{3} $は消えますからね。
だから、単位は単純にgとなるわけです。
そしてこの1840gのうち98.0%が濃硫酸本体ってことですから、
1840g×0.98=1803.2(濃硫酸の本当の重さ)とわかります。
1840gの100%は1840gですね。
これは1840×1(100%のこと)=1840gだからです。
だったら98%は
1840g×0.98=1803.2gとなりますよね。
残り2%(100%-98.0%)は水です。
ここまで大丈夫ですか?
あと、硫酸の分子量が98という前提条件が問題文にありました。
これは1モル集めたら98gになるという意味でしたね。
「よくわかりません」
という方はこちらの記事をご覧ください。
⇒モル(物質量)とは?わかりやすく解説
とにかく硫酸の重さは1840g×0.98=1803.2gで分子量が98(1モル集めたら98gということ)ですから、
1840×0.98÷98=18.4モル
となります。
これが1L中に入っているとして式を作りましたから、
18.4mol/L
ということになりますね。
よってモル濃度は18.4mol/Lです。
こんな感じで1Lとして計算していくと
簡単にモル濃度を計算できますよ。
以上で解説を終わります。