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化学

トタンとブリキの違いを化学的にわかりやすく解説

トタン ブリキ 違い

ここまでで、酸化還元反応とイオン化傾向について
くどいくらいに解説してきました。

今回の記事では酸化還元反応とイオン化傾向の知識を応用して
トタンとブリキの違いを化学的にわかりやすく解説します。

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トタンとブリキの違い

トタンの特徴

まずそもそもトタンとは何でしょう?

トタン

トタンとは鉄板の表面に亜鉛をメッキしたもののことです。

トタン屋根トタン屋根

トタンはかつて屋根として用いられていました。
トタン性の屋根って聞いたことあるかもしれませんね。

トタン屋根は最近少なくなってきましたけどね。
今はマンションが多くなってきましたから。

とにかく昔はトタンの屋根が多かったのです。
屋根というのは傷がつきやすいです。
たとえば、雹(ヒョウ)が降ってきてトタン屋根が傷つくとか。

猫ちゃんがトタン屋根をひっかいて歩くとか。
それでトタン屋根が傷つくこともあったりします。

傷ができる

上記図は猫がトタン屋根の表面をひっかいたみたいなものです。
研ぎ澄まされた爪をもった猫ちゃんがトタン屋根の表面を傷つけました。

雨が降る

そこに雨が降ってきたとしましょう。
雨は大敵です。濡れたら非常に錆びやすくなります。
イオン化傾向が大きい物質はイオンになりやすく錆びやすいんでしたね。
イオン化傾向が大きいほど何がいえるか?

ではトタンの成分、Fe(鉄)とZn(亜鉛)ではどちらの方が錆びやすいでしょう?

イオン化傾向はZnの方がFeより大きいですね。
だからZn(亜鉛)の方が錆びいやすいです。
別の言い方をすると亜鉛の方が優先的に錆びるということです。

ということでトタンの中の鉄は錆びにくいです。
外側のZn(亜鉛)が優先的に錆びます。

ですからFe(鉄)は助かります。
単なる鉄板だったら大変です。
どんどん鉄は錆びていってしまいます。
ある日猫ちゃんがトタン屋根を歩いていたら、
穴が開いてしまい、床に落ちてしまうかもしれません。
Zn(亜鉛)がいるからFe(鉄)は助かるのです。

トタンにはZn(亜鉛)がいるからFe(鉄)は錆びずにすむのです。

そんなこともあって昔、トタンは屋根によく用いられたのです。
これはイオン化傾向の知識を応用したものです。
イオン化傾向が大きいほど何がいえるか?

ブリキの特徴

トタンの次はブリキです。
昔はブリキ製のおもちゃってよくありました。

ブリキ

ブリキというのはFeの表面にSn(スズ)をメッキしたものです。
スズは猫の首輪についている鈴ではありません。
Sn(スズ)という金属があるのです。

イオン化傾向はトタンのパターンの逆です。
Sn(スズ)の方がFe(鉄)よりイオン化傾向が小さいです。

昔、ブリキは缶詰に用いられました。
缶詰といっても缶コーヒーみたいな缶ではありません。
缶コーヒーはアルミニウムの缶が多いでしょう。
そうではなくて、ブリキはカニの缶詰とかミカンの缶詰に用いられます。

どうしてでしょう?
鉄で缶詰を作るとしましょう。
ミカンにはクエン酸という酸が入っています。
酸性が強いってことです。
なので、鉄でミカンの缶詰を作るとどんどん缶が溶けていき
最終的には穴が開いてしまいます。

ということで鉄よりイオン化傾向の小さなSn(スズ)をメッキしておきます。
結果、内部が守られるのです。
鉄はイオン化傾向が大きめです。
だから鉄で缶詰を作ると溶けてしまいます。
なのでイオン化傾向の小さいスズでメッキをしておくとよいわけです。

傷ができた後に雨

ところがブリキは傷には弱いです。
たとえばカニの缶詰があったとしましょう。
トタンの例みたいに猫がひっかいて傷ができ、
そのあと雨が降ったとしましょう。

ブリキの場合、鉄の方がスズよりイオン化傾向が大きいため錆びやすいです。
だからこの場合、内部の鉄の方が優先的に錆びます

逆に表面のSn(スズ)はさびにくいです。
なのでブリキの場合は中だけ錆びるという現象が起こります。

というわけなので
ブリキのおもちゃは表面が錆びやすいため、
錆びにはめっぽう弱いという特徴があります。

ブリキの缶詰だと表面がスズでトタン屋根より表面はさびにくい。
だからブリキの缶詰って外目にはさびにくいです。
でも傷がつくと缶詰の内部が錆びやすいという特徴があります。

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トタンとブリキの違いまとめ

傷ができた後に雨
トタンとブリキの違い

・トタンは鉄の表面に亜鉛、ブリキは鉄の表面にスズ
・トタンは屋根に用いられたが、ブリキは缶詰に用いられた
・トタンはイオン化傾向が亜鉛の方が大きいから先に亜鉛が優先的に錆びる
・ブリキはイオン化傾向が鉄の方が大きいから鉄が優先的に錆びる

トタンは表面が亜鉛でできていて傷つきやすい。
でも錆びにくいです。
イオン化傾向が亜鉛の方が鉄より大きいため、
先に亜鉛の方が錆びてくれるからです。

ブリキは逆です。
ブリキはスズの方が鉄よりイオン化傾向が小さいです。

こんな感じでイオン化傾向が大きい方が優先的に錆びるわけですから
缶詰は傷がつかないうちは強いです。
でもいったん傷がついてしまうとガンガン錆びていってしまいます。

逆にトタンは傷がつくことが前提です。
だからさびがつきやすい亜鉛を表面にメッキしているわけです。

トタンは傷がついても酸化されにくいため屋根などにつかいます。
これに対してブリキは傷がつきにくいためやかんなどに使います。
こんな感じでトタンとブリキの違いを利用して
使い分けているってことでした。

以上でブリキとトタンの違いについての解説を終わります。

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