上記画像は食塩です。
少なくとも一度は見たことがありますよね!?
ただ食塩というのは最初から上記画像のように
砂粒みたいな構造をしているか?
というとそんなことはありません。
![岩塩](https://clean-souji.com/wp-content/uploads/2022/06/ganen20220613jdhd.jpg)
塩というのはもともとは
上記画像のようにブロックのような形をしていて『岩塩』といいます。
ブロックでできた岩塩をハンマーなどで叩いて細かく砕いたものが
よくある食塩になるわけです。
金属には叩いても変形してアルミ箔とか金箔を作ることができる
展性や引っ張って伸ばせる延性があります。
展性や延性の特徴についてはこちらで解説しています。
・金属結晶の特徴についてわかりやすく解説
これに対して食塩のようなものはハンマーで叩くと
上記画像のように伸びたりせずに砕かれてしまいます。
どうして金と塩では違う結果になるのでしょう?
それは結びつきが違うからです。
・陽イオンである$Na^{+} $(ナトリウムイオン)
・陰イオンである$Cl^{ー} $(塩化物イオン)
が無数に集まってできた固体なのです。
陽イオンと陰イオンに働く結びつきというのは『イオン結合』という結合で
金属結合とはまったく違います。
イオン結合とはどんな結合なのかがわかると
ハンマーで岩塩を叩いたときに金属結合なら展性や延性が起こり
イオン結合だと破壊されるという意味が良く理解できると思います。
今回の記事ではイオン結合について簡単に解説しつつ
イオン結晶の性質についてわかりやすく解説していきたいと思います。
イオン結合とは?
イオン結合の具体例は塩でしょう。
塩は陽イオンである$Na^{+} $(ナトリウムイオン)陰イオンである$Cl^{ー} $(塩化物イオン)という
2種類のイオンからできている塩化ナトリウムの固体です。
![イオン結合](https://clean-souji.com/wp-content/uploads/2021/06/ionka202100612dsi.jpg)
イオン結合は上記画像の左上のように
陽イオンと陰イオンが結びつきます。
![イオン結晶 性質](https://clean-souji.com/wp-content/uploads/2022/06/ionketugou202100625dgi.jpg)
これはプラスとマイナスの間に働く力であるクーロン力が関係しています。
クーロン力によって陽イオンと陰イオンが結びつくと
イオン結合という結合が完成します。
ここで陽イオンである$Na^{+} $(ナトリウムイオン)陰イオンである$Cl^{ー} $(塩化物イオン)が
1個ずつ結合したような図にしていますが、
実際にはこういった結合が無数に存在しています。
![イオン結合](https://clean-souji.com/wp-content/uploads/2021/06/ionhairetu20210612hid.jpg)
上記図のようにイオン結合が無数に集合した時に
イオン結晶になり、具体的には塩化ナトリウムの固体(塩化ナトリウム結晶)です。
こんな感じでできたイオン結晶にはどんな性質があるのでしょう?
イオン結晶の性質(1)もろいのに硬い
もろい(脆い)のに硬いってなんか変な感じですよね。
イオン結合というのは共有結合についで2番目に強い結合です。
1位:教諭結合
2位:イオン結合
3位:金属結合
4位:分子間力
です。
共有結合やイオン結合について知りたい方はこちら
・化学結合の種類についてわかりやすく解説
なので、イオン結合はかなり強い結合だといえるでしょう。
結合が強いほど硬いです。
結合が強いということはしっかりとしがみついているからです。
なのでイオン結合は『硬い』です。
では『もろい』とは何でしょう?
これがハンマーで叩くと壊れるという性質です。
どうしてイオン結晶だとなぜ変形せずに壊れるのでしょう?
![イオン結合](https://clean-souji.com/wp-content/uploads/2021/06/ionhairetu20210612hid.jpg)
上記図のように規則的にプラスとマイナスが並んでいます。
これにハンマーで叩かれると、
一段ズレて、同じ符号のイオンと向かい合うことになります。
同じ符号同士と向かい合うわけですから
反発する力が発生します。
磁石を想像するとわかりやすいでしょう。
衝撃で配列がズレると
同じ符号のイオンが向かい合い、反発力によって壊れてしまうこと。
です。
イオン結晶の場合、力を加えると壊れてしまうのです。
![イオン結晶 性質](https://clean-souji.com/wp-content/uploads/2022/06/shokuen20220613dhdhd.jpg)
だから岩塩をハンマーでたたくと砕けて壊れてしまい
砂のような食塩になってしまうのです。
ここは金属結晶との最大の違いになると思います。
イオン結晶にはイオン結合という結合力の強い結合のため硬いけど、
配列をずらされると反発力によって壊れるという性質があります、
イオン結晶の性質(2)固体なら電気を導かないのに液体や水溶液だと電気を導く
![イオン結合](https://clean-souji.com/wp-content/uploads/2021/06/ionhairetu20210612hid.jpg)
固体は陽イオンや陰イオンがいっぱいあります。
プラスやマイナスの粒が動くことで電気伝導性が発生します。
イオン結合の結晶だとプラスやマイナスの粒はいっぱいあります。
![イオン結晶 性質](https://clean-souji.com/wp-content/uploads/2022/06/ionketugou202100625dgi.jpg)
ただ、イオン結合でも固体の場合、プラスやマイナスの粒は動けません。
クーロン力が働くからです。
クーロン力によってプラスやマイナスの粒が動けないということで
固体は電気を通せないという性質が生まれるわけです。
だから固体の場合は電気伝導性がありません。
別の言い方をすると固体の場合は電気を導きません。
![電離](https://clean-souji.com/wp-content/uploads/2022/01/denri20220111jdh.jpg)
ですが、液体にするとクーロン力がゆるまって
ある程度ではありますが、プラスやマイナスの粒が自由に動けるようになります。
だから電気伝導性が生まれるわけです。
水に溶かしたものを水溶液といいますが
水溶液だとバラバラに電離します。
だから電気伝導性が生まれます。
液体や水溶液にすると陽イオンや陰イオンが動けるようになるので
電気伝導性があるという状態になります。
液体だと電気伝導性が生まれる理由はこちらで詳しく解説しています。
・溶解とは?わかりやすく解説
・液体や水溶液の状態だと陽イオンや陰イオンが動けるようになるので
電気伝導性がある
・固体の状態だとイオンが動けないので電気伝導性はない
イオン結晶の性質まとめ
以上、イオン結晶の性質について解説しました。
・イオン結晶は変形しないけど、金属結晶には展性や延性があり変形する
・イオン結晶の固体には電気伝導性はないけど、金属結晶は自由電子の影響で電気伝導性がある
です。
なので、イオン結晶と金属結晶は全く違いますね。
こんな感じで結合によって性質が違ってくるのですね。
展性や延性の特徴についてはこちらで解説しています。
・金属結晶の特徴についてわかりやすく解説