分圧と全圧を求める問題に苦戦している受験生は多いです。
化学わからなさすぎてむり誰か教えて分圧と全圧分かるわけないむり
— ただ の さく。 (@saku_poketui) May 17, 2022
PV=nRTつかうの!?
それ分圧?全圧???ん?できるのか— りら🐻@固ツイの把握会やって! (@rs_belle_63) May 18, 2022
そこで今回の記事では分圧、全圧の問題を解くのに知っておきたい必須知識についてご紹介します。
この記事を読んで、
あとは問題演習を繰り返していけば
自然と全圧、分圧の問題が解けるようになっていくはずです。
分圧、全圧で知っておきたい知識
まず定義から。
分圧とはその気体だけになったときに示す圧力のことで
全圧とは分圧の合計のことです。
分圧と全圧の定義だけを見たら「???」
と疑問だらけになった方もいるでしょう。
そこで具体例を挙げながら解説していきたいと思います。
あなたは今、図書館で化学の勉強をしているとしましょう。
図書館は1気圧(1atm)です。
地上だから1気圧です。
もし高層ビルであっても1気圧です。
富士山で化学の勉強をしていたら
もうちょっと気圧は低いでしょうけど(苦笑)。
でもあなたが地上で勉強しているようなら、1気圧です。
では窒素の分圧はいくらでしょう?
窒素の分圧は0.8気圧(atm)です。
たとえばあなたが勉強している場所が窒素だけになってしまったとしましょう。
窒素というのは空気中の80%を占めます。
空気(くうき)とは、地球の大気圏の最下層を構成している気体で、人類が暮らしている中で身の回りにあるものをいう。 一般に空気は、無色透明で、複数の気体の混合物からなり、その組成は約8割が窒素、約2割が酸素でほぼ一定である。 また水蒸気が含まれるがその濃度は場所により大きく異なる
— 空気さん (@airsansan) May 18, 2022
「窒素だけになったら私たち、生きていけませんよ!
そんなことないでしょ!」と思った方もいるかもしれませんね。
そりゃそうですよ。
ここでは窒素だけになったと仮定しているだけです。
その方が分圧と全圧のことを考えやすいので。
話を元に戻します。
もし窒素だけになったら分子の数が8割に減ります。
空気全体が10割で、窒素以外の残りの2割(酸素など)が消えるので
8割の窒素だけが残りますからね。
ここまでは大丈夫ですか?
となると圧力も8割(0.8)になります、
だから1気圧×0.8=0.8気圧
になります。
今度はあなたが今いる場所が酸素だけになってしまったら・・・
酸素は空気中の20%存在しています。
だから突然分子の数が2割に減ってしまいます。
すると圧力は1気圧×0.2=0.2気圧となります。
そして窒素だけの世界になった時の0.8気圧と
酸素だけの世界になった時の0.2気圧は分圧です。
・窒素だけの世界と仮定したら分圧は0.8気圧
・酸素だけの世界と仮定したら分圧は0.2気圧
ということになります。
それから今回のケースでは1気圧が全圧となります。
分圧=全圧×モル分率
モル分率:今回の例では窒素なら0.8、酸素なら0.2
という関係になっています。
ちなみに
混合気体(今回の例ではそこらの空気)の分圧の比は物質量の比に等しいです。
全体の気体の物質量をn、窒素の物質量をnAとしたらnA/nがモル分率となります。
仮に空気の物質量を10、窒素は空気の8割なので物質量を8としたら
8÷10=0.8が窒素のモル分率となります。
なので、窒素の分圧は全圧1気圧×モル分率0.8=0.8気圧ですし
酸素の分圧は全圧1気圧×モル分率0.2=0.2気圧となります。
「ここまで読んでも、まだピンときません」
という方もいるかもしれませんね。
では今まで分けてきた窒素と酸素を同じ箱の中に入れたとしましょう。
0.2気圧の酸素と0.8気圧の窒素を同じ箱に入れたとする。
すると、体積はみんな同じになりますね。
同じ箱の中ですからね。
全圧1気圧の体積も同じですし、同じ箱に入っている0.2気圧の酸素と0.8気圧の窒素の体積も同じですよ。
たとえばあなたが今いる場所(図書館とか)で
酸素の分布はどうなっていますか?
後ろの方にいる人は酸欠で倒れていますか?
倒れていませんよね。
ということは酸素は隅々まで過不足なく行きわたっています。
窒素も同様です。どこに行っても同じ体積であり、共通だということです。
全圧であろうが分圧であろうが、体積で見たらみんな同じだということです。
これを前提にしますが、
窒素だけになったら0.8の力で押していますし(気圧は圧力ですからね)、
酸素だけになったら0.2の力で押しています。
でも体積は同じですよ。くどいようですが。
とはいえ、リアルな世界では窒素と酸素が共同して押しているので
0.8気圧+0.2気圧=1気圧の力で押しています。
つまり分圧の総和が全圧ということです。
全圧というのはわかりやすいうと実際の圧力のことです。
実際にあなたが今いる場所は1気圧です。
細かく見たら窒素が0.8の力で酸素が0.2の力で押しているかもしれません。
でも、私たちの体感では(実際には)1(気圧)の力で押されているわけですよね。
なので、全圧というのは分圧の総和という定義になっていますが、
分かりやすく考えたら実際の圧力のことです。
以上で解説を終わります。