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化学

凝固点降下の原理と身近な例

凝固点降下 原理

水って0℃になったら凍りますよね。
そこまではほとんどの方が知っている話だと思います。

では以下の話は知ってますか?
ただの水よりも水溶液の方が
凍りにくいという事実です。

「どうして?」
と疑問に感じる方もいるかもしれません。

凝固点降下という化学の話が絡んでくるので
ちょっとややこしい話になります。

そこでこの記事では凝固点降下の原理について解説していきます。
そして凝固点降下の原理が働いている身近な例もご紹介します。

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凝固点降下の原理

水が氷る温度を凝固点といいます。
そして水が氷る温度というのは通常0℃です。

氷と水が共存

0℃で氷るわけですが、
ただ0℃では氷と水が共存しています

ところで氷ってコップの水の中に入れると
プカーッと浮きますよね。

ということは凝固点の状態というのは
氷と水が共存しているということになりますよね。

ここまでまとめると

・水が氷る温度を凝固点で、0℃が該当する
・0℃は水と氷が共存している
・ということは凝固点では水と氷が共存している

ということです。

で、氷が解けるスピードと
水が氷るスピードが一緒の状態、
これが普段、私たちが生活している状態の凝固点です。

たとえば北海道に行ったとしましょう。
網走の方に流氷が流れ着くという話を
テレビでよくやってますよね。

その流氷を拾ってきたとしましょう。
表面をきれいに洗って割ったとします。
割った流氷の真ん中部分を舐めたらどんな味がすると思いますか?
一応海にある氷だからしょっぱい味がしそうですね。
でもしょっぱくありません。

つまり海の水が氷るときには
塩を含んだ形では氷らないということです。
水だけが氷っていきます

流氷の真ん中をなめてもしょっぱくないのです。
水溶液の場合には
溶質が溶けているわけですよね。

ただ砂糖や塩は氷の中には含まれません。
するとこの氷と砂糖や塩の水溶液が共存している状態というのは
溶質(砂糖や塩のこと)が水に溶けているので
氷る勢いというのが弱いのです。

溶質が邪魔します。
水が氷になろうかなというところに
溶質が邪魔してくるのです。

くどいようですが砂糖や塩といった溶質は氷の中には含まれませんからね。
でも、氷が水になる場合、
氷の中には溶質といった邪魔者はいません。
すると氷は水になりやすいです。

するとこのままだとどんどん氷が水に解ける量の方が
水が氷になる量よりも多いわけです。
このままだとどんどん氷が解けてしまいます。

どうすればよいでしょう?
もう少し温度を下げて水が氷になるスピードを
上げてあげないといけません。

ということで温度を下げる必要があるわけです。
温度を下げることによって凝固するスピードと
解けるスピードを一緒にしてあげるということです。

ということで温度を下げて氷と水溶液を共存させることができます。
つまり凝固点が下がる(降下する)ということです。

このように水に砂糖や塩といった溶質を溶かすと
凝固する温度が下がるのです。
これを凝固点降下といいます。

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凝固点降下の原理が働いている身近な例

凝固点降下の原理を利用した身近な例には何があるでしょう?

エチレングリコールを主成分とした不凍液を挙げることができます。
自動車の冷却水が凍らないようにするためのものです。
車に興味のない方はよくわからないかもしれませんが、
車の中には冷却水というものがあります。

エチレングリコール

冷却水のところにエチレングリコールを主成分とした不凍液を入れます。
ちなみにエチレングリコール自体を人間や動物が舐めると下痢になったりしますので
絶対に口に入れないようにお願いします。

グリセリンの構造式

エチレングリコールの構造式にCHとOHを加えると
グリセリンになります。
このグリセリンは歯磨き粉に利用されることが昔ありました。
グリセリンは甘味があるので、甘味を足すために歯磨き粉に利用されていたのです。

でも間違ったのか故意なのか
歯磨き粉の中にグリセリンでなくエチレングリコールが入っていて
死者が出るという騒動がありました。

以上のようにエチレングリコールは体に悪いのですが、
もう1つCHとOHがくっついたグリセリンになると問題はなくなります。

話を元に戻して自動車にエチレングリコールが入っても問題ありませんから
エチレングリコールが利用されているわけです。
このように書くと、「でも別にグリセリンでいいんじゃない!?
その方が安全性が高いんだし」って思った方もいるかもしれませんね。

でも、エチレングリコールの方がグリセリンよりも
仕入れ価格が安いのです。
私は獣医師として動物病院を運営しているからわかるのですが、
犬猫の下剤としてグリセリンを使うこともあります。
業者から仕入れるときに価格の違いを実感します。

とにかく車にエチレングリコールを利用するのは
グリセリンよりもコストが安いからです。

コストの安いエチレングリコールを水に溶かして
冷却水として利用されています。

ただの蒸留水を冷却水として利用していると
たとえば真冬の北海道旅行中に凍ってしまうでしょう。

氷になると体積が増えます。
破裂する可能性があるので大変危険です。
薄いガラスのコップに水を入れて冷凍庫に入れないはず。
体積の大きい氷になりコップが割れてしまうからです。

だから凍らないように凝固点を下げるために
エチレングリコールを溶かして水溶液にして利用しているのです。
これは凝固点降下の原理を利用しています。

これと同様に
凍結防止剤も凝固点降下の原理を利用しています。
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路上の凍結を防ぐために$CaCl_2 $(塩化カルシウム)をまくことがあります。

路上が凍結するといったらかなり寒い地方になるかと思います。
特に盆地の長野県とか山梨県とか。
$CaCl_2 $(塩化カルシウム)を凍りそうなところに散布するわけです。

すると$CaCl_2 $(塩化カルシウム)というのは
溶質が溶けて凝固点を下げることができて
道路が凍らないようにある程度防ぐことができます。

道路が凍って滑るのは危ないですからね。

橋
特に橋は危ないです。
橋は吹きっさらしのことが多いです。
するとものすごく冷えます。

特に橋のつなぎ目のところには金属を入れてます。
底の部分が凍ってタイヤが空回りするとスリップ事故を起こす危険性があります。
そういったことを防止するために$CaCl_2 $(塩化カルシウム)といった凍結防止剤が存在します。
なので$CaCl_2 $(塩化カルシウム)といった凍結防止剤は
凝固点降下の具体例になります。

真冬の駅のホームで
地面が凍ると、滑ってこけて大けがする危険性があります。
そんな場合に、あらかじめ凍結防止剤をまいておくと
路面が凍結しなくなるので
滑ってこけてケガするリスクを避けることができます。

以上で解説を終わります。

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