今回の記事では不動態の覚え方をご紹介しますが、
先にそもそも不動態とは何か?から解説しますね。
不動態の覚え方
ここで不動態の覚え方が重要になります。
・鉄(Fe)
・ニッケル(Ni)
・アルミニウム(Al)
・クロム(Cr)
・コバルト(Co)
の5種類ですが、覚えるべきイオン化傾向との兼ね合いで
上記5つのうち鉄、ニッケル、アルミニウムの3種類だけのパターンと
鉄、ニッケル、アルミニウム、クロムの4種類のパターンと
上記5種類全部のパターンの合計3パターンの語呂合わせがあります。
・手にある(鉄のて、ニッケルのに、アルミニウムのある)
・手にある黒豆(鉄のて、ニッケルのに、アルミニウムのある、クロムの黒豆)
・手にある不動産は農林水産省管轄(手にあるは同じ。不動産は不動態、
農林水産省管轄は濃硫酸のこと)
・手にある黒コーラ(手にあるは鉄、ニッケル、アルミニウム
黒はクロム、コーラはコバルト)
となります。
他にも不動態の語呂合わせはありますよ。
好きなもので覚えてくださいね。
あてにされるお不動様
・『あ』がアルミニウム
・『て』が鉄
・『に』がニッケル
・お不動様の不動が不動態
です。
以上が不動態の覚え方になりますが、
不動態の理屈も覚えておいた方が良いと思うので
以下、不動態とは何か?わかりやすく解説させていただきますね。
不動態とは?わかりやすく解説
前回の記事でイオン化傾向の中でも
酸との反応について解説しました。
前回の記事はこちら
⇒イオン化傾向|酸との反応のついてわかりやすく解説
その中で10円硬貨とか銀などを溶かそうと思ったら
希硝酸、濃硝酸、加熱した濃硫酸(熱濃硫酸のこと)だったら溶けると解説しました。
ただ濃硫酸と濃硝酸については注意すべきことがあります。
鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)は
表面に酸化物の膜がくっつくんですよね。
だから、中の方まで反応が進みにくいです。
ここでは鉄、ニッケル、アルミニウムの3つを挙げてますが、
これはイオン化傾向をどこまで覚えるかの話になります。
かなり詳しく覚えている方は先ほどの覚え方で解説したように
鉄、ニッケル、アルミニウム、クロム、コバルトの5つが該当しますので
よろしくお願いします。
話を元に戻しますね。
たとえばAl(アルミニウム)。
アルミニウムの表面に酸化物の膜がくっついてしまいます。
これを酸化被膜(さんかひまく)といいます。
そして全体を不動態といいます。
よくある間違いに不動態の態がベアーの熊になってしまっている人をみかけます。
「不動熊(ふどうぐま)」ではなく「不動態(ふどうたい)」です。
キメの細かい酸化物の膜(酸化被膜)がAlの表面を覆ってしまい
仲間で反応が進まない。これが不動態です。
前回解説したPbの周りを覆う衣は沈殿物です。
でも、Alの周りを覆う衣は酸化物(酸化被膜)です。
イオン化傾向が大きいものと酸との反応というパターンであるのは同じ。
そして同じように表面を衣が覆うパターンです。、
でも、衣の種類が違います。
よく覚えておきましょう。
・鉛(Pb)の衣は沈殿物($PbCl_2 $とか$PbSO_4 $)
・アルミニウム(Al)の衣は酸化物($Al_2O_3 $)
です。
そのためにも不動態の語呂合わせ(覚え方)は非常に有益になります。
・手にある(鉄のて、ニッケルのに、アルミニウムのある)
・手にある黒豆(鉄のて、ニッケルのに、アルミニウムのある、クロムの黒豆)
・手にある不動産は農林水産省管轄(手にあるは同じ。不動産は不動態、
農林水産省管轄は濃硫酸のこと)
・手にある黒コーラ(手にあるは鉄、ニッケル、アルミニウム
黒はクロム、コーラはコバルト)
上記に当てはまっているかどうかで
表面を覆う衣が酸化被膜なのか、沈殿物なのか
一瞬で判断できますからね。
こんな感じで濃硫酸や濃硝酸と
Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)との反応は
不動態を作るのでほとんど反応しません。
不動態の身近な例
そして不動態というのは私たちの身の回りに結構あります。
たとえば鉄のフライパンってありますよね。
鉄って銀白色です。
でも鉄のフライパンって真っ黒ですよね。
鉄製のフライパンというのは黒くてキメの細かい酸化物の膜で覆われています。
鉄製のフライパンというのは不動態で覆われているからです。
黒い酸化物の膜で覆われているので
鉄製のフライパンは黒いのです。
あと、アルミニウムって錆びないという人がいますよね。
次やる事ぁ、タンクの塗装剥いでアルミ地剥き出しにするよ。
Kのタンクはアルミなの!
錆びないの! pic.twitter.com/M3p7btGBrC— 人妻 (@batabataXK11) May 16, 2021
でもアルミニウムは錆びます。
チタンとか
ステンレスとか
素地の色そのまんまなフレームもいい。
アルミは…錆びる(くすむ pic.twitter.com/ORgy4yciUL— LEMOND乗り@BPE-B (@lemondowner2003) June 24, 2020
もちろん1円玉だって錆びます。
実は1円玉の表面というのは$Al_2O_3 $というのが薄く張っています。
アルミが錆びるの見たこと無いという方のため、1円玉の写真あったわ。ちなみにアルミは錆びると基本白くなると言われています。なので1円玉で白くなったら汚れもあるけど錆の可能性もあるってことですな。ところでこれ何の話やねん(´・ω・`) pic.twitter.com/xW83XhUz7p
— Joji Cokumu(赤字貿易経営者!倒産したけど今年は黒字化目指す!毒の人ではありません。) (@_596_) May 7, 2020
ただ、$Al_2O_3 $というのが無色透明なのです。
なので$Al_2O_3 $アルミニウムが錆びていても
無色透明なため目に見えないのです。
だから1円玉の表面とかアルミニウムの表面は
実際は錆びています。
イオン化傾向が大きいので酸化は受けやすいはずです。
だから「アルミは錆びない」ということはありません。
アルミは錆びているけど、
錆びが透明だから見えないだけです。
しかもキメが細かいです。
アルミニウムの鍋も
$Al_2O_3 $をびっしり貼り付けてできています。
アルミニウムの鍋は$Al_2O_3 $による錆びで
覆われているのでこれ以上錆びない、傷まないような鍋になっているのです。
ちなみに$Al_2O_3 $を厚くつけたものをアルマイト製品といいます。
日本が得意な領域です。
よしアルマイト製品
日本一安く売る!!!!!!!!! pic.twitter.com/kAlB80iJvF
— おもちゃのジョニー@ミニ四駆 (@toyhouse_johnny) November 17, 2021
今回の記事の中心は不動態の覚え方でしたが
他にも不動態の具体例なんかにも触れました。
参考にしていただけるとうれしいです。