前回の記事では相対質量とは何か?解説しました。
⇒相対質量とは?わかりやすく解説
今回の記事では相対質量を使って
原子量とは何か?簡単に説明してみたいと思います。
逆に相対質量がわかっていないと原子量の意味が分かりません。
なので気になる方は先にこちらをご覧ください。
⇒相対質量とは?わかりやすく解説
Contents
原子量とは?簡単に説明
原子量とは何か?というと、原子量というのも
原子1個の重さを表す数値になります。
前回の記事でも相対質量は原子1個の質量を表すものだと解説しました。
⇒相対質量とは?わかりやすく解説
相対質量と原子量って何が違うのでしょう?
以前、同位体について解説しました。
⇒同位体とは?炭素を例に分かりやすく解説
同じ種類の原子でも互いに質量数の異なるものを同位体といいます。
同位体を考慮して原子量という数字を出していきます。
つまり、
同位体の存在比を考慮した相対質量の平均値のこと
をいいます。
では原子の量の計算の仕方について解説していきます。
原子量の計算の仕方
たとえば、質量数が63の銅(${}^{ 63 } Cu $)の相対質量は62.9です。
質量数が65の銅(${}^{ 65 } Cu $)の相対質量は64.9です。
相対質量と質量数はだいたい一致します。
でも厳密には少しずれがでます。
原子量を計算するときは相対質量を使います。
(${}^{ 63 } Cu $)の63を使わないということです。
ちなみに62.9という相対質量というのは
質量数が12の炭素原子から見た比率で表されています。
ここは前回の記事の復習になります。
⇒相対質量とは?わかりやすく解説
とにかく
・${}^{ 63 } Cu $・・・相対質量62.9
・${}^{ 65 } Cu $・・・相対質量64.9
という2つの同位体があります。
で、質量数が63の銅(${}^{ 63 } Cu $)と質量数が65の銅(${}^{ 65 } Cu $)、
重さは確かに違います。中性子の数が違うからです。
同位体と中性子の関係についてはこちらの記事で解説しています。
⇒同位体とは?炭素を例に分かりやすく解説
でも、質量数が63の銅(${}^{ 63 } Cu $)と質量数が65の銅(${}^{ 65 } Cu $)という2種類は
化学的な性質は同じです。
同位体というのは化学的な性質は同じになります。
たとえば酸素と反応して酸化銅を作るといった化学的な反応というのは互いに等しいです。
化学反応が起きた時に生成物(新たにできたもの)がどれだけできるか?
何グラムできるか?計算するときに、
2種類の質量を持った原子で場合分けして考えるのはすっごく面倒くさいです。
質量数が63の銅が反応した時と質量数が65の銅が反応した時と
2通りに場合分けして計算するのはすごく面倒くさいですよね。
そこで原子量というのは
何種類か同位体があったとしても相対質量を一本化して
一つの数字で表現してしまおうという考え方になっています。
ということは小学校で習う単純な平均の求め方でいくと、
(62.9+64.9)÷2=63.9
となります。
つまり、平均すると62.9と64.9の間の63.9となるわけですね。
でも、ちょっと納得がいかない方もいるのではないでしょうか。
62.9の重さを持った銅原子と64.9の重さを持った銅原子は
同じ比率で存在するわけではありません。
実際、質量数が63の銅原子って69.2%で、
質量数が65の銅原子は30.8%の比率で存在しています。
質量数が63の銅原子の方が圧倒的に多いです。
なのに平均を取って真ん中の63.9とするのはちょっと不自然です。
そこで原子量という数字を算出する場合には
同位体の存在比を考慮して計算することになっています。
なので原子量を出すときの計算式というのは
原子量=(相対質量×存在比)の和
となります。
なので、この記事で取り上げた銅原子の原子量は?
となったら、
原子量=相対質量62.9×0.692(69.2%)+64.9×0.308(30.8%)$\fallingdotseq $63.5
となります。
これが原子量の計算の仕方です。
では復習です。
相対質量とは質量数12の炭素原子の重さを1個12としたときの比率でした。
原子量はその原子に存在する同位体の相対質量と存在比率を考慮して計算します。
単純な平均ではダメです。
以上で解説を終わります。