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化学

ダニエル電池の仕組みについてわかりやすく解説

ダニエル電池 仕組み

今回はダニエル電池の仕組みについてわかりやすく
解説していきたいと思います。

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ダニエル電池の仕組み

電池といっても化学に登場する電池の意味合いと
その他の分野で出てくる電池の意味合いが違います。

この記事ではダニエル電池という化学で登場する電池です。
なので化学における電池という意味合いで以下、解説していきますね。

化学基礎における電池とは?仕組みについても解説

電池というのは還元剤と酸化剤を結びます
もうここで化学っぽい解説になってますよね。

還元剤と酸化剤の意味を知っていますか?
よくわからない方はこちらの記事をご覧ください。

酸化剤と還元剤

酸化剤と還元剤を、単純にビーカーの中で混ぜても・・・

役割

・還元剤は電子を放出したい
・酸化剤は電子を受け取りたい

です。

なので単純にビーカーの中に酸化剤と還元剤を入れると
お互い直接やり取りしてしまって話が終わってしまいます。
となるとダニエル電池どころか、そもそも電池ができなくなってしまいます
だからビーカーに直接酸化剤と還元剤を入れることはしません。

電子のやり取りを勝手に行わせるのはNG。

仕切り
ということでビーカーの中に仕切りを入れます。

還元剤は電子を酸化剤に与えたいけど
仕切りに邪魔されて与えることができません。

酸化剤は電子をもらいたいけど、
仕切りに邪魔されて還元剤から電子をもらうことができません。

こんな感じで電子を渡したい還元剤と電子を貰いたい酸化剤の部屋を
仕切りで別々にしたとしましょう。

ただ部屋を別々にしているだけだと
永遠に同じ状態が続きます。

ではどうしたらよいでしょう?

電池

上記図のように導線で結びます。
こんな感じで電子を渡したい還元剤と
電子をもらいたい酸化剤とが銅線で結ばれるとどうなるでしょう?
導線の中を還元剤から酸化剤に向かって電子($e^{ー} $)が移動します。

この電子($e^{ー} $)の流れを取り出したものを電池といいます。

たとえば、導線上に豆電球を置いておくとどうなるでしょう?
電子が還元剤から酸化剤の方向に流れていきます。
途中にある豆電球によって電子の流れが止まります。

もし車が猛スピードで移動中に急ブレーキをかけたら
タイヤが熱くなるはず。

なので豆電球によって電子の流れが止まり
発生した熱を電気エネルギーに変えます。
この電気エネルギーによって豆電球が光るわけですね。

電池

ところで還元剤が入っている方の部屋をー(マイナス)と書いて負極(ふきょく)、
酸化剤の入っている方の部屋を+と書いて正極(せいきょく)とよびます。

こんな感じで電池の場合のマイナスは負極、
電池の場合のプラスは正極といいます。

電池のポイント

電池
電池のポイントとしては

・還元剤と酸化剤を仕切りで分ける
・分けられた還元剤と酸化剤を導線でつなぐ

ということです。

こんな感じで電池の仕組みってすごくシンプルです。
なので、電池って量産が可能です。
還元剤と酸化剤を組み合わせればできるわけですからね。

ただ、それぞれいろんな電池にいろんな欠点があります。
莫大な費用がかかるとか。

あるいは前回解説したナトリウムは還元剤として
強力ですが、水があると爆発してしまいます。
すると電池としては使い勝手が悪いわけです。

何かの拍子で水が入り込んでしまうと発火してしまう危険性があります。

スマホに使用されている電池にリチウムイオン電池がありますね。
リチウムというのはイオン化傾向が大きいです。
だから昔、リチウムイオン電池が発火して爆発するという問題がありました。
そんなこともあって全部回収して直したみたいな話もあります。

ただ将来的にリチウムイオン電池がこれからもっと
拡大されていく可能性が高いでしょう。

太陽電池もありますが、
リチウムイオン電池は車にも利用される可能性が高いです。

リチウムは密度が小さいので軽いです。
細切れに充電したとしてもあまり電池自体が劣化しないという特性があります。
コンパクトにもできます。

だからリチウムイオン電池は利用価値が高いです。

ただ電池の弱点はいくらコンパクトにできるといっても限界があります。
どれだけ電池を細かく薄く軽くして
しかも大きな電力を取り出し、しかも長時間使えるか?
という観点でしのぎを削っていろんな人が研究しています。

そういった研究の成果の一つに当たる電池がダニエル電池です。

ダニエル電池の仕組み

かなり昔の話になりますが、
イラクのバグダッド見つかった電池があります。
それがバグダッド電池と呼ばれる電池です。

ただバグダッド電池から電池の歴史が始まったわけではありません。
ボルタという人が電池を作ったというのが最初です。
ボルタ電池から電池化学の歴史が始まっていきます。

ややこしい話になりました。
すみません。
言いたかったのは、ボルタ電池よりも昔の電池として
バグダッド電池があったという話です。

ただまともな電池の最初はボルタ電池です。
とはいえ最初に作られたものって欠陥品が多いですよね。
人間は欠陥品を作ったら、
欠陥を改良しながら
少しずつよいものを作っていくものです。

とにかくボルタ電池は欠陥がありました。
そこでボルタ電池を改善していきました。
そしてできたのがダニエル電池です。

ダニエル電池

ダニエル電池は亜鉛版と銅板を
それぞれ硫酸亜鉛水溶液($Zn^{2+} $$SO_4^{2ー} $)と硫酸銅水溶液($Cu^{2+} $$SO_4^{2ー} $)の中に
突っ込みます。

ダニエル電池

そして硫酸亜鉛水溶液と硫酸銅水溶液の間に仕切りをもうけます。
この仕切りを素焼き板といいます。
素焼き板には小さな無数の穴が開いています。
穴が開いていると、2つの溶液は時間がたつと
混ざってしまいます。

どうしてこんな板を使うのでしょう?
ぐちゃぐちゃに混ざったら困るじゃないですか。

以前こちらの記事で銅樹について解説しました。
イオン化傾向の覚え方(ジャニーズや下ネタを活用)

ダニエル電池

素焼き板の仕切りだと右側にある$Cu^{2+} $とZn板が出会ってしまって
銅樹(どうじゅ)ができてしまいます。
銅樹ができるのはよくありません。

導線を伝ってZnからCuの方に電子を流したいので
困ってしまうわけです。
そういった意味でも素焼き板は変な板だといえます。
時間がたつと両側の液体が混ざってしまうわけです。
なのにどうして素焼き板を使ってしまうのでしょう?

還元剤と酸化剤
ダニエル電池の場合には

・還元剤がZn($Zn^{2+} $ではありません)
・酸化剤が$Cu^{2+} $(Cuではありません)

です。

ダニエル電池

そして還元剤の方がマイナス極で負極、
酸化剤の方がプラス極で正極です。

そして還元剤から酸化剤に向かって、
つまり負極から正極に向かって電子($e^{-} $) が流れていくことになります
この流れてきた電子を$Cu^{2+} $が受け取って、
Cuが出てくることになります

つまりCuが析出してくるわけです。

そうすると

マイナス極では

Zn⇒$Zn^{2+} $+$2e^{-} $
とZnは電子を放出する。

そしてプラス極では流れてきた電子$2e^{-} $を$Cu^{2+} $が受け取って
Cuが析出します。

プラス極では

$Cu^{2+} $+$2e^{-} $⇒Cu

となります。

以上がダニエル電池の仕組みです。

ではどうして素焼き板を使うのでしょう?

亜鉛イオン
マイナス極ではZn⇒$Zn^{2+} $+$2e^{-} $となって
$Zn^{2+} $が出てきますよね。

そしてプラス極には硫酸銅が入っています。
硫酸銅というのは$Cu^{2+} $と$SO_4^{2ー} $が同じ数ずつ必ず入ります。
たとえばスプーンで塩をすくいあげたとしましょう。
食塩水を作ろうと思ったら必ず$Na^{+} $と$Cl^{ー} $が同じ数だけ入っています。

これと同じで硫酸銅水溶液を作ろうと思って
硫酸銅を溶かしたら$Cu^{2+} $と$SO_4^{2ー} $が
必ず同じ数だけ入ります。

亜鉛イオン
なのに、ダニエル電池においては負極からやってきた電子と$Cu^{2+} $が反応して
Cuになってしまうわけです。

$Cu^{2+} $と$SO_4^{2ー} $が最初は同じ数だったのに
$Cu^{2+} $がCuとなることで
$Cu^{2+} $と$SO_4^{2ー} $の数が合わなくなってしまうわけですね。

$SO_4^{2ー} $が残ってしまうってことです。

もしダニエル電池に素焼き板を利用せずに
ビーカーを2つに分けたり、プラスティックの板で仕切ったりすると
負極にある$Zn^{2+} $はマイナスの$2e^{-} $を引き付けてしまいます。

さらに正極にある$SO_4^{2ー} $は「$2e^{-} $が負極からやってくるな!」
と追い返してしまいます。

$SO_4^{2ー} $も$2e^{-} $もどちらも電気的にマイナスなので
反発しあいますからね。この辺は大丈夫ですね。
磁石を思い浮かべていただければよくわかると思います。

こんな感じで素焼き板を使用せずにプラスティックの板で仕切ると
電池が使い物になりません。

ダニエル電池

ところが素焼き板を使うと
$Zn^{2+} $は$SO_4^{2ー} $に引っ張られます。
$SO_4^{2ー} $は$Zn^{2+} $に引っ張られて動けます。

素焼き板には細かい穴が開いてるので
積極的に通りたいものは通れるのです。
という形でイオンが自由に移動できます。

すると導線の方では電子が動き、
溶液中ではイオンが動くことによって電池が機能することになります。

だから時間が経つと溶液がぐちゃぐちゃになります。
でも、ある程度の時間だったら素焼き板で仕切ることができるので
ダニエル電池は電池として十分利用できます。

以上がダニエル電池の仕組みです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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