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化学

金属結合とは?例を挙げながらわかりやすく解説

金属結合とは

前回はイオン結合(イオン結晶)について解説しました。
イオン結晶の特徴をわかりやすく解説

今回は金属です。
金属の固体って毎日見ますよね。
その金属の固体って金属原子が集まってできたものですが
どんな結びつきでできているのでしょう?

固体を作るには粒子が集合しないといけません。
集合するには何かしらの結びつきがあるはずです。

金属原子同士の結びつきを金属結合といいます。
この記事では金属結合について詳しく説明していきます。

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金属結合とは?

今回は金属結合について解説します。
どんな金属でも説明可能ですが、今回はナトリウム(Na)を例に説明していきます。

まずこちらの図をご覧ください。
金属結合

金属の固体というのは隣の原子との間で電子殻同士が接触しています。
電子殻についてよくわからない方は先にこちらをご覧ください。
最外殻電子とイオンの関係をわかりやすく解説
電子殻はなぜKから始まるのか?わかりやすく解説
電子殻の収容数が分からない方はこちら

金属の固体というのは原子同士(お隣同士)が接触することでできています。

電子殻に電子がまわっている図

当然電子殻には電子($e^- $)が存在しています。
本当はすべての電子殻(上記図でいったら9つの電子殻)に電子($e^- $)は存在しますが、
細かすぎて書ききれないのと説明のために、ここでは2個だけ電子($e^- $)を書くことにします

もともと電子は電子殻をグルグル回っています。
ただ、電子はもともと電子殻の周りをまわっていたのでしょう。

電子が別の場所に移動

でも、接触している部分を利用したら別の原子(Na)の電子殻に移動することができます。
金属の固体の中を電子は自由自在に動き回ることができるんですね。

自由電子

こういう電子を自由電子といいます。
自由に動くから自由電子です。

この自由電子ですが、もともとあった電子殻から抜けていったとき、
この原子(($Na $))は電子($e^- $)を失った状態になりますね。
自分の持っていた電子がいなくなったわけですから。

陽イオン

この$Na $原子は$Na^+ $と陽イオンの形になります。
電子というマイナスの電気を1個失ったからプラスが1個となるわけです。
ここがよくわからない方はこちらの記事を読んでいただければスッキリすると思います。
最外殻電子とイオンの関係をわかりやすく解説

すべてのナトリウム原子が陽イオン

金属の固体の中では電子って常にいろんなところを移動しているので、
金属原子って常に上の図のように陽イオンの状態になります

自分の電子がなくなりプラスの電荷を持った陽イオンの状態で
集合していると考えることができます。

引き合う力

こんな感じで電子が移動した時、
上記図のようにマイナスの電気を持った電子とプラスの電気を持った陽イオンの間には
引き合う力が働きます。

金属結合

この引き合う力のこと、この結びつきを金属結合といいます。
自由電子が接着剤の役割をした結合と考えることができますね。

マイナスの電気を持った自由電子が陽イオン同士を結び付ける、
接着剤の役割を持った結合、これこそが金属結合です。

この金属結合によって陽イオン(金属原子)がたくさん集まると
金属の固体ができます。

鉄のフライパン

上記画像は鉄のフライパンですが、
鉄原子が金属結合によって無数に集まったものです。
この金属結合という結合はイオン結合の次に強い結合です。

結合の強さ

共有結合>イオン結合>金属結合

なので、金属結合が3番目に強い結合です。
だから、金属の固体は融点も高いです。
結合が強いとどうして融点が高いのか?についてはこちらの記事で
詳しく解説しています。
共有結合結晶とは?わかりやすく解説

そして、金属結合により無数に集まったものを金属結晶といいます。
では、金属結晶にはどんな特徴があるのでしょう?

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金属結晶の特徴

金属結晶で一番有名な特徴は展性と延性があること

です。

要するに変形が可能だということです。
どうして変形が可能なのでしょう?

こちらはイオン結合です。
イオン結晶の特徴をわかりやすく解説
イオン結合

イオン結合の場合には
衝撃によって配列がずれると以下のようにプラスとプラス
マイナスとマイナスがぶつかり合い、反発し合います。

衝撃でズレた

そんなこともあって硬いけどもろいという特徴がイオン結合(イオン結晶)にはありました。

イオン結合がもろい理由

でも、金属結合の場合、

金属結合

仮に衝撃により配列がずれても
自由電子は自由に動き回っていますから
またプラスとマイナスで結びつきが作られます。

つまり、金属結合の場合には電子殻同士が接触さえしていれば
自由電子のおかげで途切れることがありません。
だから金属結合は衝撃によっても壊れたりしません。
金属結晶は変形が可能だということですね。

ここはイオン結合(イオン結晶)との最大の違いといえるでしょう。
イオン結晶の特徴をわかりやすく解説

あと金属結晶は叩くと薄く広がるという性質があります。

アルミ箔

具体的にはアルミ箔とか金箔です。
これを展性といいます。
展性とは引っ張って糸状に引き延ばすことができる性質のことです。

ところで展性や延性という性質を一番強く持っているのは金です。
米粒くらいの金の固体を薄くハンマーで広げていくと畳半畳分まで広げることができます。

だから、金箔の価値ってそんなに高くありません。
いくら金であろうが、米粒くらいの大きさの金を畳半畳分まで広げることができるわけですからね。

だから金製品を身につけている人を見かけても
「この人、お金持ちかな、成功者かな」みたいな感じで
勝手に思い込まないでくださいね(苦笑)。

金箔は高級感はあるけど、そんなに高額な物ではありませんからね。
これは金属結晶の特徴である展性、延性がわかると
理解できるようになりますね。

それから他にも金属結晶の特徴があります。
他の金属結晶の特徴として電気や熱伝導性が大きいという性質を挙げることができます。

なぜなら、自由電子が電気を運んだり熱を伝えたりすることができるからです。

あと、3つ目の特徴として
特有の光沢をもっています。
これが光を反射させるために起こる性質です。

錆びていない金属の固体には光を反射させる性質があります。
錆びると金属単体でなくなるので光を反射しなくなりますからね。

とにかく錆びていない金属の固体には金属光沢という光沢があります。

例を挙げるとすると

ボールペン

ボールペンの先(インクが出る周辺)をご覧ください。
光沢がありますね。
このあたりは金属でできているからです。
これが金属光沢です。

この金属光沢は金属結晶の特徴の1つになります。
なぜ金属光沢が生まれるのでしょう?
自由電子が関係しています。

自由電子が光を反射させるから光沢が生まれるのです。
なので、金属に光沢があるのを見たら
「あ、ここに自由電子があるんだ!」って思ってみてください。
ちょっと賢くなった気持ちになれますよ。

最後にまとめますと金属結晶の特徴は

・変形が可能(展性や延性という性質)
・電気や熱を伝導する性質が強い
・光沢をもっていること

でした。

以上で解説を終わります。

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