今回の記事では付加重合による重合体の具体例をわかりやすくご紹介します。
付加重合による重合体の具体例:ビニル系
ビニル系は付加重合による重合体の一種です。
付加重合のさせ方はこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒付加重合とは?図を使ってわかりやすく解説
上記図で左側の構造を付加重合させると、
弱い方の結合が1本切れて単結合になりますね。
そして両サイドに手が出て、()(水色部分)つけてn(ピンク色部分)をつければ完成です。
これは復習になります。
詳しい付加重合の書き方はこちらの記事をご覧ください。
⇒付加重合とは?図を使ってわかりやすく解説
このXの部分が水素だったらエチレンになります。
で、重合体は頭にポリをつけるだけです。
なので、エチレンの重合体はポリエチレンです。
つまり、付加重合による重合体の具体例の一つにポリエチレンがあるということです。
ポリエチレンの用途はポリ袋、ゴミ袋です。
それからもし、Xの部分がメチル基($CH_3 $)だったら、
単量体の名前はプロピレンで、重合体になるとポリプロピレンとなります。
ポリプロピレンの用途はポリバケツです。
プラスチック製のゴミ箱ってありますね。
このゴミ箱はポリプロピレンでできています。
それから、Xのところにエステル結合とメチル基がついていると
酢酸ビニルという単量体になり、付加重合によりポリ酢酸ビニルになります。
用途は木工用ボンドに使われます。
それからXの部分に塩素原子($Cl $)が入ると、
単量体は塩化ビニルになります。
重合体だとポリ塩化ビニルです。
ポリ塩化ビニルの用途は下水の水道管に使われています。
あとプラスチック製の消しゴムにも利用されています。
それからXの部分にベンゼン環がついてたらスチレンで、
付加重合によりポリスチレンです。
用途は発泡スチロールです。
ポリスチレンに発泡剤を入れて膨らませたものを発泡スチロールといいます。
それからXの部分が$C \equiv N $だったら、
単量体はアクリロニトリルで、付加重合による重合体になるとポリアクリロニトリルになります。
用途はアクリル繊維です。
アクリロニトリル付加重合でできる高分子は糸状に加工して
アクリル繊維と呼ばれる合成繊維として利用されています。
このアクリル繊維というのは保温性が大きいので
セーターとかマフラーとか毛布などに使われます。
冬場、あなたが着るセーターに『アクリル』って書いてあったら
アクリル繊維だなと思ってください。
アクリロニトリルの付加重合体で糸が作られているんだな
と思ったらよいです。
こんな感じで、あなたが服を買う時に
何でできているのか?見るのも面白いものですよ。
教養として代表的な用途を知っておきましょう。
また、原料となる名前(単量体)は覚えましょう。
ただ、付加重合体(付加重合してできる重合体)は頭に『ポリ』をつけるだけなので
わざわざ覚えなくて良いです。
付加重合による重合体の具体例:ビニリデン系
ビニリデン系はさっきのビニル系のHが一か所だけYに変わります。
Xがカルボキシ基になり、Yがメチル基になると
単量体でメタクリル酸メチルで、付加重合によりポリメタクリル酸メチルになります。
用途はメガネのレンズやコンタクトレンズに使われています。
それからXもYもCl原子だったら、
塩化ビニリデンで、重合体はポリ塩化ビニリデンです。
用途は台所で使うラップですね。
最後にビニリデン系ではないですが、
テフロン加工という言葉で有名なテフロンも付加重合による重合体です。
単量体はテトラフルオロエチレンで付加重合体になるとテフロンとなります。
以上で付加重合の例についての解説を終わります。
続いて縮合重合による重合体の例(PETなど)をご紹介します。
⇒縮合重合によるPETは犬猫のペットではない!詳しく解説