今回の記事では「飽和蒸気圧ってどういうこと?」
「気液平衡って何?授業で習ったけどよくわからない」
といったお悩みを解決していきます。
・固体
・液体
・気体
という3つの状態があるという話をしました。
⇒状態変化とは?図を使ってわかりやすく解説
⇒状態変化グラフの見方・考え方をわかりやすく解説
ただ、世の中には固体と液体が共存した状態とか、
液体と気体が共存した状態というのもあります。
たとえば、北極。
北極は氷という固体が浮いているわけですが、下は海水という液体です。
液体と固体が共存した状態といえますね。
こういうのを二相間平衡(にそうかんへいこう)といいます。
複数の状態が共存した状態のことを二相間平衡といいます。
固体と液体だけでなく、液体と気体だって共存していたら二相間平衡です。
今回の記事では飽和蒸気圧と気液平衡とは何か、
解説しますが、前提として二相間平衡についての知識が必要なので
以下、詳しく解説していきます。
Contents
二相間平衡とは?
二相間平衡とは2つの状態が共存した状態のことです。
固体と液体がともに存在する状態(例:氷水)や液体と気体が共存することもあります。
たとえば、ペットボトルに水を入れ、ふたを閉めたとしましょう。
すると、中に液体が残っていますが水面から蒸発していって水蒸気になる部分もあります。
上記画像をご覧ください。
ペットボトル内でも水が入っていない部分。
この水が入っていない部分にはいくらか蒸発してできた水蒸気も存在しています。
なので、気体と液体が共存しているから、これも二相間平衡の具体例になります。
今回の記事のテーマが飽和蒸気圧・気液平衡なので、
ここでは特に液体と気体の共存について考えていきましょう。
飽和蒸気圧・気液平衡とは?
以下の図をご覧ください。
ガラス容器の中に液体の水を入れます。
すると、表面から気体が出ていきます。
蒸発ですね。
もちろん目に見える変化ではありませんが、
表面から液体の水が気体となって蒸発することは常識的な話ですよね。
たとえば洗濯物って干しておけば勝手に乾きますよね。
これは蒸発が起こったからです。
水面から気体となって外に飛び出す現象を蒸発といいます。
液体の水を容器の中に入れると蒸発していきます。
このまま長時間放置してみるとどうなるでしょう?
密閉した容器の中に液体の水を入れてそのまま長時間放置します。
そのあと、容器の中を覗いてみたら
どんな状態になっているでしょう?
2つの可能性があります。
1つは入れた水が全部気体となって蒸発してしまう可能性です。
洗濯物が完全に乾くのはすべて蒸発して気体に変わったからですね。
つまり、洗濯物が全部、乾燥した状態です。
もう1つは液体が残ってしまう可能性です。
密閉した容器の中では完全に蒸発しきるとは限りません。
途中で蒸発がストップしてしまい、液体が残ってしまう状況もあり得ます。
一部液体が残ってしまう状態も考えられます。
では一部液体が残ってしまうというのはどういう状況なのでしょうか?
最初のうちはどんどん蒸発していきますが、
蒸発できる限界というのがあります。
どこまでも蒸発できるわけではありません。
蒸発できる限界というのがあります。
では限界って何で決まるのでしょう?
実は蒸発してできた水蒸気の圧力で決まります。
蒸発によってできた水蒸気の圧力がある一定の圧力になったら
それ以上、蒸発はできなくなります。
つまり、蒸発できる限界の圧力ってものが存在するのです。
この圧力のことを『飽和蒸気圧』と呼びます。
飽和蒸気圧という圧力=気体になれる上限の圧力
ということです。
ですので、途中で飽和蒸気圧になったら
そこで蒸発はストップし、液体は残ってしまいます。
全部蒸発しても飽和蒸気圧に達しないのであれば全部、気体になるわけです。
そして完全に乾きます。
ですが、途中で飽和蒸気圧になってしまったらそこで蒸発が止まり液体が残ってしまいます。
ところで飽和蒸気圧って何で決まるのでしょう?
・物質の種類
・温度
の2つです。
ですので、飽和蒸気圧まで蒸発してしまったらそこで液体が残ってしまいます。
洗濯物は干しておけば完全に乾きますよね。
どうしてでしょう?
洗濯物の水分が全部蒸発したからです。
よく考えてください。
空気中の水蒸気の圧力を変えるほどの水の量はないですよね。
どれだけ蒸発したって空気中の水蒸気の圧力なんて変わりようがありません。
だから、すべて気体になっても特に問題ありません。
飽和蒸気圧に行きつきませんから。
ですが、途中で飽和蒸気圧に達してしまう密閉した容器内だったら
途中で蒸発が止まることだってあります。
ですから、密閉した空間で洗濯物を干しておくと
何時間干しても乾かないこともあります。
水蒸気の圧力がその温度における飽和蒸気圧になっていたら
それ以上蒸発できないからです。
これも立派な液体と気体が共存する状態なので二相間平衡ですが、
この状態のことを気液平衡の状態といいます。
気液平衡状態というのは蒸発するスピードと凝縮(上記画像参照)が起こるスピードが等しくなって
見かけ上蒸発が止まった状態のことです。
たとえば、コップにウォッカなどの度数の高いお酒を入れたとしましょう。
お酒は水とエタノールの混合物です。
度数の高いお酒ほど、放置しておくと、
どんどん蒸発していってコップの中のお酒の量が減っていきますよね。
でも、今回解説したような密閉した容器の中に
ウォッカなどのお酒を入れても蒸発するものの、
液体に戻るものも存在します。
そして蒸発する量と凝縮して液体に戻る量がイコールになったら
その状態は立派な気液平衡状態だといえます。
以上で気液平衡と飽和蒸気圧についての解説を終わります。