※アフィリエイト広告を利用しています

化学

コロイド溶液の性質についてわかりやすく解説

コロイド溶液 性質

コロイドとは直径$10^{-7} $mから$10^{-9} $mの粒子のことです。
つまり、溶けるには大きすぎるのです。
だからコロイド溶液は濁っています。

おそらく「直径$10^{-7} $mから$10^{-9} $mがどれくらいの大きさかわからないよ」
って思った方も多いでしょう。

たとえば、水に溶ける溶解という現象は
1ナノメートル($10^{-9} $m)くらいの大きさで起こります。

だからコロイドの場合はギリギリではあるかもしれませんが
うまく溶けきれません。

かといって沈殿するには小さいです。

だからコロイド溶液は濁って見えるわけです。

牛乳

たとえば牛乳はコロイド溶液の具体例になります。
牛乳を放っておいても沈まず、濁ったままですね。
沈殿するには小さすぎるのです。

こんな感じでコロイド溶液は中途半端な溶液だといえるでしょう。

今回の記事ではコロイド溶液の性質について解説します。

スポンサードリンク




コロイド溶液の性質(塩析と凝析)

で、

コロイド溶液を考えるときには

・親水コロイド
・疎水コロイド

に分けて考えるようにしましょう。

親水コロイドは読んで字のごとく、水と親しい関係にあります。
だから非常に安定しています。

これに対して疎水コロイドは水と仲が悪いので不安定です。

コロイド溶液にイオン性の物質(電解質とも)、
たとえば食塩水を加えてあげると電荷を中和して沈殿させることができますが、
親水コロイドは安定しているので大量に加えないと沈殿しません。
これを塩析(えんせき)といいます。

塩析とは

親水コロイドに大量の電解質(食塩水など)を加えた結果起こる現象のこと。

たとえばタンパク質。
タンパク質は親水コロイドです。

だから実験をするときにはタンパク質を大量に加えます。
これによりタンパク質が塩析により沈殿します。

これに対して疎水コロイドは不安定なので
少量の電解質で沈殿します。
このことを凝析(ぎょうせき)といいます。

ここまでまとめ

・親水コロイド(水と仲が良い)・・・大量の電解質で沈殿(塩析
・疎水コロイド(水と仲が悪い)・・・少量の電解質で沈殿(凝析

私は獣医師として日々、ペットの診療をしています。
当ブログ管理人のプロフィール

ペットに注射するとき、
生理食塩水やブドウ糖でお薬を混ぜて注射するケースがありますが
塩析や凝析の知識がないと危険です。

たとえば鉄製剤のフェジンという注射薬があるのですが、
生理食塩水(ざっくりいうと電解質である食塩水)で希釈すると沈殿することがあります。
しかもこれは塩析でなく凝析です。
つまり、少量の生理食塩水でもお薬の成分が沈殿するわけですね。

遊離した鉄イオンはペットの嘔吐や発熱などの原因になることもあります。
こんな感じで獣医師や医師になったらコロイド溶液の知識って
ものすごく重要になってきます。

もし将来、意志や獣医師を目指しているなら
コロイド溶液はしっかり勉強しておいてくださいね。

スポンサードリンク




コロイド溶液の性質(保護コロイド)

ここまでまとめ

・親水コロイド(水と仲が良い)・・・大量の電解質で沈殿(塩析
・疎水コロイド(水と仲が悪い)・・・少量の電解質で沈殿(凝析

でしたね。

他にも『保護コロイド』があります。

ただ、保護コロイドは単なる組み合わせの話です。

墨汁

保護コロイドの具体例は墨汁です。
墨汁の成分は炭素(黒鉛)です。
墨汁は黒鉛のコロイドということですが、疎水コロイドです。

なので、墨汁を買ってきて使おうとしても
全部沈んでいると思います。
これは墨汁は疎水コロイドであるため沈殿しやすいからです。

この墨汁に対して親水コロイドである『ニカワ』を加えることで
周りを保護してくれます。
こんな感じで疎水コロイドに親水コロイドを加えることによって安定化させることを保護コロイドといいます。

だから

原則的なコロイドは

・親水コロイド
・疎水コロイド

の2つしかありません。

保護コロイドは親水コロイドと疎水コロイドの
組み合わせでできたコロイドなだけですからね。

スポンサードリンク




コロイド溶液の性質(チンダル現象)

チンダル現象というのはコロイド溶液に光を当てると
光の筋が見えるという現象のことです。

ただ、溶液では肉眼で見えません。

朝の太陽

たとえば、日が長くなってくる春や夏。
朝起きて雨戸をあけると朝日が差して光の筋が見えることがありますね。
これは「部屋の中を掃除しろ!」って話です。

ホコリがなければ見えない話だからです。

チンダル現象は溶液では見えません。
ただ、コロイド粒子が光に反射して光の筋が見える現象をチンダル現象といいます。

スポンサードリンク




コロイド溶液の性質(ブラウン運動)

コロイド粒子を限外顕微鏡という特殊な顕微鏡で観察すると
ゆらゆらと動いている姿が見えます。

どうして見えるのでしょう?
これはコロイドが動くわけではありません。
水分子がコロイド粒子にぶつかるからコロイドがゆらゆら動きます。

どんなに目のいい人でも水分子が動いている姿は見れません。
見えない水分子がガンガンコロイド粒子にぶつかります。
その結果、水より大きな限外顕微鏡で見えるコロイド粒子がゆらゆら動いて見えるわけですね。
この現象をブラウン運動
といいます。

スポンサードリンク




コロイド溶液の性質(電気泳動)

電気泳動は電気分解ではありません。

電気
たとえば、U字管に水酸化鉄の赤いコロイド入れ、電極を挿します。

電気泳動
水酸化鉄のコロイドは表面がプラスです。
表面がプラスだからマイナスの方に寄って行きます。

プラスの方からは離れていきます。
これを電気泳動といいます。

水酸化鉄は表面はプラスですが、
陰イオンが入ってくると、マイナスのイオンとくっついて沈んでしまいます。
これは凝析です。

そのときの効果としてどちらの方が効果があるのでしょうか?
これは価数で決まってきます

たとえば2価の硫酸イオンの方が1価の塩化物イオンよりも
効果が大きくなります。
硫酸イオンは価数が2で塩化物イオンは価数が1ですからね。
価数とは?わかりやすく解説【化学】

$SO_4^{2ー} $>$Cl^{ー} $

$Fe(OH)_3 $(水酸化鉄)の表面はプラスです。
だからマイナスのイオンを入れると
くっついて沈んでしまうのです。

そのとき、2価の陰イオンと1価の陰イオンのどちらを入れると
沈殿をさせる効果が大きいか?というと価数の大きいほうが
効果が大きいです。

マイナス2の方がマイナス1よりも効果が大きいです。

なので凝析を狙うなら
価数の大きい溶液を使うとより効果的です。

ちなみにですが、一般に1価あたり6乗違います。
たとえば1価の陰イオンは1の6乗で2価の陰イオンは2の6乗です。
だから単純計算で1価と2価では64倍効果が違います。

コロイド溶液の性質(透析)

透析って知ってますか?
最近は犬でも透析治療をするケースもあります。
当ブログ管理人のプロフィール

半透膜を利用して小さな分子やイオンを外に出し
それにより純度の高いコロイドを生成する方法を透析といいます。

以上で解説を終わります。

スポンサードリンク