今回の記事ではヘンリーの法則についてわかりやすい解説を心がけながら解説していきます。
ヘンリーの法則とは?
ヘンリーの法則は気体の溶解度に関する法則です。
『水に溶けにくい気体について成立する法則』でもあります。
以前の記事で凝固点降下について解説しました。
⇒凝固点降下について冷却曲線を使ってわかりやすく解説
凝固点降下は希薄溶液(濃度が薄い液体)について成立します。
ヘンリーの法則も希薄溶液という条件下で成立する法則です。
どういうことか?
ヘンリーの法則は比例が関係する法則なのですが、
比例するのはあくまで希薄溶液の話です。
アンモニアとか塩化水素みたいによく溶けて
全体が濃くなってしまうため、実験結果がずれてしまいます。
だから、溶けにくい気体であれば
溶ける量はほんのちょっとだから、比例関係がキープできるということです。
それではヘンリーの法則について
もう少し細かくみていきましょうか。
ヘンリーの法則によると『モル数は分圧に比例する』
どういうことでしょう?
当たり前の話ですよ。
圧力を2倍に強めたら、2倍に溶けるって話です。
圧力を4倍で押したら4倍溶けるってだけです。
だから『モル数は分圧に比例する』というのは当たり前の話です。
分圧についてはこちらで解説しています。
・分圧、全圧の問題を解くのに知っておきたい必須知識とは?
次、
ヘンリーの法則によると『体積は分圧に無関係』
これはちょっと難しい話かもしれません。
圧力を高くしても体積が変わらなって話ですからね。
分かりやすく解説していきますね。
たとえば、
理想気体の状態方程式を変形すると以下のようになりますね。
V=$\frac{nRT}{P} $
溶ける気体の体積をVとしています。
PV=nRT
P=圧力
n=物質量(mol)
V=気体の体積(L)
R=気体定数(0.082)
T=温度(K)
理想気体の状態方程式はこちらで解説しています。
・理想気体と実在気体の違いと近づける方法についてわかりやすく解説
V=$\frac{nRT}{P} $の右辺の分子、分母に2をかけると
V=$\frac{nRT}{P} $=$\frac{2nRT}{2P} $
となりますね。
分子と分母両方に2をかけても問題ありませんね。
$\frac{2}{2} $=1ですからね。
このことから圧力を2倍にしたら(分母の2P)、
2倍溶けますね(分子の2n)。
nはモル数ですからね。
2nということは2倍溶けているってことです。
もし圧力を3倍(3P)にしたら体積は変わらないわけですから
3nとなり、3倍溶けるということがわかりますね。
モル数についてよくわからない方はこちらをご覧ください。
⇒1モルから得られる3つの情報とは?わかりやすく解説
⇒モル(物質量)とは?わかりやすく解説
こんな感じで体積Vは常に一定ってことです。
圧力を2倍にした場合には2倍溶けます。
2倍の力で押したからです。
ただ、そのときには気体そのものも2倍に圧縮されています。
だから同じ体積Vの中に2倍のモル数が入っているわけです。
だから体積は見かけ上変わりません。
以上のことから
ヘンリーの法則によると『モル数は分圧に比例する』
ということを理解しておけば
ちょっとややこしい
ヘンリーの法則によると『体積は分圧に無関係』
も理解ができるということです。
以上でヘンリーの法則についての解説を終わります。