今回の記事では化学的に空気より軽い気体の具体例を挙げていきます。
化学的に空気より軽い気体とは?
化学的な気体の性質を考えるときに大事なのが
『その気体は空気よりも軽いのか重いのか?』ということです。
ところで気体の状態方程式って覚えていますか?
PV=$\frac{w}{M} $RT
p:圧力(pressure) V:体積(volume) R:気体定数 T:絶対温度
w:質量、M:分子量
です。
有名な気体の状態方程式は
PV=nRT
ですが、
モル数n=$\frac{w}{M} $
w:質量、M:分子量
なので
PV=$\frac{w}{M} $RT
としています。
気体の状態方程式
気体定数の定義より、PV/T=Rである。
この式は気体1molのとき成り立ち、気体の体積は同温同圧なら物質量に比例するので、気体nmolにおいて、
PV/T=nR、すなわちPV=nRTが成り立つ。この式を気体の状態方程式という。— 大学受験化学bot (@jukenkagaku) April 1, 2023
PV=$\frac{w}{M} $RT
上記式を変形します。
$\frac{w}{V} $=$\frac{PM}{RT} $
となります。
$\frac{w}{V} $について
単位をよく考えてみましょう。
wは質量で単位はg(グラム)です。
Vは体積で単位はL(リットル)です。
なので$\frac{w}{V} $の単位はg/Lとなり密度を表していることがわかります。
気体は氷みたいな固体と比べて軽いですよね。
ふつうはg/Lでなくg/$cm^{3} $(立方センチメートル)です。
でも1Lあたりというふうにしないと値が小さくなってしまいます。
だから気体の密度といった場合には
1Lあたり何グラムを表す、g/Lという単位にするのが普通です。
この記事では空気よりも軽い気体を化学的に示すために書いています。
空気より重いか軽いかは密度の話ですよね。
物の浮き沈みの話と同じですから。
空気より重い気体なら沈みますし、空気より軽い気体は浮きますよね。
なので密度が小さい(=軽い)と浮きますし、密度が大きい(=重い)と沈むわけです。
ここで話を戻します。
密度$\frac{w}{V} $は分子量Mに比例します。
$\frac{w}{V} $=$\frac{PM}{RT} $
でした。
上記変形した式の右辺を見てください。
分子にM(分子量)がありますね。
$N_2 $(窒素)は28で空気の8割だから4/5
$O_2 $(酸素)は32で空気の2割だから1/5
より28×4/5+32×1/5=28.8
よって空気の平均分子量は28.8
です。
ということは
$\frac{w}{V} $=$\frac{PM}{RT} $
なので、空気の平均分子量M=28.8より気体の分子量の方が大きければ
密度が大きいということから沈みます。
逆に空気の平均分子量M=28.8より気体の分子量の方が小さければ
密度が小さいということから浮くことが分かります。
つまり気体の分子量を計算して
28.8より大きければ空気より重い気体で
28.8より小さければ空気より軽い気体だとわかります。
こんな感じで空気より軽い気体というのは暗記しなくても
導き出すことが十分可能です。
では空気より軽い気体(分子量が28.8より小さい気体)の具体例を挙げますね。
空気より軽い気体は無数にあるので代表的なものだけを挙げますと、
・$H_2 $(水素、分子量2)
・$He $(ヘリウム、分子量4)
・$NH_3 $(アンモニア、分子量17)
・$CH_4 $(メタン、分子量16)
等が考えられます。
以上で解説を終わります。