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化学

原油(石油)の分留についてわかりやすく解説

原油 分留

今回の記事では工場関係で将来働こうと思っている人は知っておいた方がよい知識について解説します。

原油(石油)を沸点の違いで分離することを分留といいます。
これによってどんな炭化水素ができるのか?という解説をしていきます。

ちなみに石油と原油の違いは

・石油は液体の油など(地中に存在するもの)
・原油は石油から異物除去したもの(石油を採取した後のもの)

という理解で大丈夫です。

なので原油の分留といっても石油の分留といっても
これから解説する内容は同じですのでよろしくお願いします。

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原油の分留の前提となる炭化水素とは?

前回の記事では有機化合物を構成する元素について解説しました。
有機化合物の構成元素には何があるか?わかりやすく解説

今回大事になる炭化水素という有機化合物になります。
炭化水素というのは炭素と水素のみからなる化合物です。
単結合だけで連結したものを飽和炭化水素といいます。
炭化水素の中でも二重結合や三重結合、
おそびそれに付随するような結合を持っているものを不飽和炭化水素といいます。

炭化水素は

・飽和炭化水素・・・単結合だけで連結したもの
・不飽和炭化水素・・・二重結合や三重結合、おそびそれに付随するような結合を持っているもの

に分かれます。

CとHのみからなる化合物で二重結合や三重結合を持つかどうかで
飽和か不飽和かが決まってくることを知っておいてくださいね。

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原油(石油)の分留

石油というのは炭化水素の混合物です。
油って言葉がありますね。
あなたが普段、口にする油と石油や原油はまったく違います。

私たちが唐揚げとか天ぷらで口にする油は今後解説しますが、
油脂という構造になります。
油脂はエステルです。

石油(原油)は『油』が入っていますが、
まったく構造は違います。
石油、原油は炭化水素の塊です。
混合物です。

そして沸点の違いによって何種類かの炭化水素に分けていきます。
このことを分留といいます
石油を分けることによってどんな炭化水素が得られるのか?
以下、解説していきます。

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石油、原油の分留により5種類に分けられる

普段、何気なく目にしているプラスティック類も
実は石油をもとにして作られています。

石油からどんな炭化水素が得られるのでしょう?
沸点の違いで5種類に分離できます
これこそが分留ですからね。

以下5種類について解説します。

石油、原油の分留(1)ガス分

まず、ガス分(がすぶん)です。
ガスとは気体のことです。
石油の中に含まれる炭化水素の中で沸点が低くて
常温で気体になるものをガス分といいます。

おおむね炭素数が1個から4個くらいまでの炭化水素の混合物がガス分です。
たとえば炭素数が1個というのは炭素原子を1個分子内にもった炭化水素のことです。

ガス分は常温で気体のものです。
ガス分はLPGというものに分類されます。
LPGは液化石油ガスのことです。

ガス分というのは圧力を加えて液体にした状態で液化石油ガスという燃料として使われます。
要するにガス分は燃料として利用されます。

石油、原油の分留(2)ナフサ

そして少し炭素数が大きくなったものをナフサといいます。
ナフサというのは炭素数が5個から10個の炭化水素の混合物です。
なのでナフサは純物質ではありません。
純物質と混合物の違いを例を挙げてわかりやすく解説

ナフサは1種類の物質ではありません。
複数の炭化水素が混ざったものです。
ナフサは今回紹介している石油の中で一番有用な成分だといえます。

たとえば、ガソリンになったりとか工業的な原料として利用されます。
プラスティック類はおおむねナフサという成分でできています。

身近なプラスティックの原料にエチレンやプロピレンがありますが、
そのもとはナフサです。

クリアファイルクリアファイル

たとえばクリアファイルはポリエチレンでできています。
プラスティック製のゴミ箱はポリプロピレンからできています。

医薬品もナフサに含まれる炭化水素から作ることができます。
もしナフサがとれなくなったら・・・
身近なプラスティックや医薬品は作れなくなってしまうってことです。
非常に重要な成分です。

石油、原油の分留(3)灯油(分)

そしてもうちょっと炭素の数が増えると、灯油(分)になります。
炭素数が8個から18個くらいまでが灯油分です。
灯油分は灯油と『分(ぶん)』をつけない場合もあります。

石油ストーブ

灯油は家庭用の燃料として利用されています。
石油ストーブというのは石油を燃やしているわけではありません。
石油といってしまうと、ナフサも重油もすべて入ってしまいますからね。

石油ストーブといっても石油の中からとれる灯油というものを
燃料として使っています。

こんな感じで灯油は家庭用の燃料として利用されています。

ジェット機
あとは意外かもしれませんが、ジェット燃料も灯油が利用されています。
つまり、飛行機は灯油で飛んでいるのです。

石油ストーブの燃料とジェット機の燃料は実は一緒なのです。
燃料代を安くするためにジェット機は灯油を使っているらしいですよ。

石油、原油の分留(4)軽油(分)

さらに炭素の数が大きくなると軽油(分)と呼ばれる炭化水素の集団ができます。
炭素数は14個から23個くらいまでです。

軽油はディーゼルエンジンの燃料(ディーゼル燃料)として利用されています。
最近はディーゼル車って増えてきていますが、
トラックとか大きな車の燃料としてディーゼル燃料は利用されています。

排ガスが汚いというイメージがディーゼル車にはありますね。
でも最近のディーゼル車はきれいな排ガスが出るようになっています。
クリーンディーゼルといったりします。

石油、原油の分留(5)重油(分)

さらに炭素数が大きくなると重油(分)といわれる炭化水素の混合物が得られます。
だいたい炭素数が17以上が重油に該当します。

重油はアスファルトなどに利用されています。

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石油(原油)の分留についてまとめ

以上のように石油(原油)の分留により

・ガス分
・ナフサ
・灯油(分)
・軽油(分)
・重油(分)

に分かれます。

上記は沸点がそれぞれ違います。
徐々に沸点は高くなっていきます。

沸点は

ガス分<ナフサ<灯油(分)<軽油(分)<重油(分)
と高くなっていきます。

沸点の違いで5種類の成分に分けることができます。
それぞれ炭化水素の混合物ですが、
どんなものに利用されているのか?についても解説しました。

石油がなくなると生活が困るということがわかりますね。
燃料がなくなるし、プラスティック類が作れなくなるし
医薬品も作れなくなりますし・・・

まともな生活が送れなくなってしまいますね。
ということで石油に代わる燃料をこれから考えていかないといけないという時代になってきています。
石油の採掘技術は上がってきていますが、
限りがありますからね。
なくなってしまったらまっとうな生活ができなくなる可能性もあります。

海外から原油を輸入してきて沸点の違いによってガソリン、灯油、ジェット燃料を作ったり
ガスを取り出したり・・・

最近ではサウジアラビアと契約して現地の工場でやって
そこから出荷するなんてことを
油田のところと契約してやってたりします。

となると、そういった企業で働いている人は
サウジアラビアに単身赴任ということも
あるかもしれませんね。

日本企業はそうやって生き残りにかけているってことですね。

以上、石油(原油)の分留についての解説を終わります。

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