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化学

接触法の反応式についてわかりやすく解説

接触法 反応式

以前の記事で接触法とは何か?
詳しく解説しました。
接触法とは?わかりやすく解説

今回の記事では接触法の反応式について
わかりやすく解説していきます。

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接触法の反応式

接触法の反応式を理解するために
大事なことがあります。
それはまず何を作るものなのか?意識してください。

「接触法だから何かをくっつかせる方法なのかな!?」
って思った方がいるかもしれませんが違います。

接触法は硫酸を作る方法です。

もう少し詳しく書くと、
接触法とは硫黄(S)の燃焼によってできた
二酸化硫黄($SO_2 $)から濃硫酸を作る方法のことです。

接触法の反応式はまず硫黄と酸素が反応して二酸化硫黄を生成します。
それから、二酸化硫黄と酸素が反応して三酸化硫黄を生成します。
最後に、三酸化硫黄と水が反応して硫酸を生成します。

以上が日本語で書く接触法の反応式です。

では化学的に反応式を書いていきますよ。
まず硫黄が燃焼して二酸化硫黄ができることを示す反応式は以下の通りです。

S+$O_2 $ →$SO_2 $

燃やすってことは化学的には酸素を加えるってことです。

次に二酸化硫黄を三酸化硫黄にする反応式です。

$SO_2 $+$O_2 $⇒$2SO_3 $

この記事をご覧のあなたは現在高校生なのか大学生なのか、
中学生なのかわかりません。
ただ、こういう反応式を見た時に
今まで培ってきた常識をうまく使ってください。

話を戻しますと、

$2SO_2 $+$O_2 $⇒$2SO_3 $

この反応式ってそう簡単に進むと思いますか?
$SO_2 $は亜硫酸ガスです。
亜硫酸ガスは大気汚染の原因物質です。

それから空気中にはいっぱい酸素がありますよね。
もし

$2SO_2 $+$O_2 $⇒$2SO_3 $

の反応がスムーズに進んでしまうのであれば
$SO_2 $(亜硫酸ガス)は存在しないはず。
なぜなら空気中の酸素と反応して$SO_3 $になってしまうからです。

なので空気中に$SO_2 $(亜硫酸ガス)がいるのでしょう?
わかりますね。
スムーズには酸素と反応しないからです。
つまりある程度を温度を上げつつ触媒も必要だということが
類推できます。
こうやって考えていくと、接触法の反応式を覚えやすくなるでしょう。

で、触媒は$V_2O_5 $(五酸化二バナジウム)です。
バナジウムの原子番号は23番なのですが、
非常にマイナーです。
ですが、$V_2O_5 $(五酸化二バナジウム)だけは
メジャーです。

接触法で$SO_2 $を酸化して$SO_3 $にするための触媒としては
ものすごく有名です。

なのでバナジウムそのものはマイナーですが、
触媒として利用される$V_2O_5 $(五酸化二バナジウム)は
すごくメジャーなのです。
$V_2O_5 $(五酸化二バナジウム)はしっかりと覚えておきましょう。

ここまででめでたく$SO_3 $になりました。

次に水に溶かして硫酸ができます。

$SO_3 $+$H_2O $⇒$H_2SO_4 $

$SO_3 $にしておけば水に溶かして硫酸ができるわけです。

ただ、上の反応式、違和感を感じませんか?
反応式としては確かに合っています。
でも、絶対に直接溶かして硫酸にしてはいけません。
大変なことになるからです。

エネルギー図を知っていますか?
上はエネルギーが高くて下に行くほど低いです。
熱化学方程式とエネルギー図で発熱と吸熱反応を表すコツ

エネルギー図

上の図をご覧ください。
左辺の$SO_3 $+$H_2O $と右辺の$H_2SO_4 $。
が書かれていますね。

ところで$H_2SO_4 $(硫酸)は不揮発性です。
なので濃硫酸は臭いません。

エネルギー図

このエネルギーの差が半端じゃなく大きいのです。
だから上記エネルギー図で差をもっと大きくしてもよかったのですが・・・。
でも、記事には限界がありますので・・・。

とはいえ、差が大きいということだけ
感じ取っていただければうれしいです。

逆にエネルギーの差が小さかったら
熱をちょっと加えるだけで$H_2SO_4 $は$SO_3 $+$H_2O $にすぐに分解されます。

エネルギーの差が小さいというのは『揮発性』ということです。
エタノールなんて想像したらわかりますよね。
何の努力もなく室温(エネルギーが高温より小さい)で気体に変わってますよね。

エネルギー図

ところが$H_2SO_4 $は不揮発性です。
不揮発性ということはエネルギーを加えても
なかなか分解されません。
なので不揮発性ということはエネルギーの差がものすごく大きいということです。
そう簡単に気体にならないってことですよ。

エネルギーの差が大きいということは
直接溶かしたら大変なことになります。
どうしてか?
直接溶かしたらエネルギーの差分の莫大なエネルギーが
一気に出てくるからです。
そうなったらあっというまに工場が吹っ飛んでしまいます。
ということで直接溶かしたら大変です。

なので

$SO_3 $+$H_2O $⇒$H_2SO_4 $

みたいに直接溶かすようなことは
リアルでは絶対にやらないでください。

こんな感じで直接水に溶かしたら大変なことになります。
だから$SO_3 $はまず濃硫酸に溶かします
濃硫酸とは水溶液の濃度が90%以上の硫酸の水溶液のことです。
ちなみに90%というのは質量パーセント濃度のことです。
質量パーセント濃度の覚え方

濃硫酸は濃いです。
濃い濃硫酸に$SO_3 $を溶かしたらさらに濃くなって
発煙硫酸になります。

発煙硫酸はあまりに濃いので空気中の水蒸気と反応して煙を吹きます。
だから発煙硫酸といいます。

本当は発煙硫酸は他の方法でも作れます。
でも発煙硫酸を運ぶのは危険です。
だって煙を吹いているわけですから。
怪しすぎますよね。

なので発煙硫酸の移送は難しいです。
そこで発煙硫酸に水を加えて少し薄めます。
すると濃度が少し下がって濃硫酸ができます。

ということです。

と書くと、「(1)に登場した濃硫酸と
(2)に登場した濃硫酸は同じじゃないですか?」
って疑問に感じた方もいるかもしれません。

ちょっと待ってください。

(1)の濃硫酸は発煙硫酸を作るための原料です。
だから量は少ないです。
でも(2)は水なども混ざってできているので大量にできます。
だから大量の濃硫酸を(2)で作るために
(1)で原料として少量の濃硫酸を使っているのです。

なので(1)の濃硫酸と(2)の濃硫酸では量が全く違います。
そして何よりも重要なことは(1)で登場した$SO_3 $と
(2)で登場した水は同じ過程で反応していませんね。
(1)で水は存在しませんし、
逆に(2)で$SO_3 $は存在しません。

さっき解説したように$SO_3 $と水を直接反応させたら
大爆発が起こります。
だから莫大なエネルギーを(1)と(2)で少しずつ
分けて出していっているのです。
そうやって大爆発が起こらないように工夫されているというのが
接触法のすごい所だと思います。

ただ反応式で表すと

$SO_3 $+$H_2O $⇒$H_2SO_4 $(濃硫酸)

となって$SO_3 $と$H_2O $がめぐりめぐって反応して
濃硫酸ができるわけです。
なので反応式そのものが間違っているとか
そういうことはありません。

ただ注意点として
直接$SO_3 $と$H_2O $を反応させたら
リアルだとアウトですよってことです。
ここがわかれば接触法の反応式の理解はOKです。

以上で解説を終わります。

続いて接触法以外の工業的製法として
ハーバーボッシュ法とアンモニアソーダ法について解説します。

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