今回の記事では蒸発熱だと符号はどうなるのか?
についてわかりやすく解説していきたいと思います。
蒸発熱だと符号はどうなる?
蒸発熱とは?
まず蒸発熱とは液体が蒸発するために利用される熱量のことです。
蒸発は気化ということもあるため蒸発熱は気化熱ともいいます。
別の言い方をすると蒸発熱とは1グラムの液体をすべて気体に変える熱のことです。
・液体が蒸発するために利用される熱量
・1グラムの液体をすべて気体に変える熱のこと
水の蒸発熱で符号を確認
いきなりですが、質問です。
$H_2O $(水)を加熱するとどうなりますか?
$H_2O $(水)を加熱すると水蒸気になりますね。
$H_2O $(液)+QKJ(Qキロジュールの熱を加えるという意味)=$H_2O $(気)
となります。
だから左側の符号がプラスになります。
左側の
$H_2O $(液)+QKJは液体の水を加熱してという意味ですからね。
そして右側の$H_2O $(気)は結果、気体(水蒸気)になるという意味です。
ただ、熱化学方程式では一般的にKJ(キロジュール)は右辺に書きます。
なので、
$H_2O $(液)=$H_2O $(気)ー(マイナス)QKJ
とマイナスの記号になります。
これは大丈夫ですか?
左辺と右辺に両方ともー(マイナス)QKJを加えても
全体の数字は変わりませんよね?
たとえば
10+5=15
ですけど、左辺と右辺に―3しても
10+5-3=15-3
12=12
となってイコールが維持されています。
ややこしいですけど、
10+5-3=15-3
において
左辺の―3を右辺に移項したら
10+5=15-3+3
-3+3=0なので
10+5=15
となりますよね。
これと同じで両辺に―QKJを加えます。
$H_2O $(液)+QKJ-QKJ=$H_2O $(気)-QKJ
左辺のQKJーQKJ=0なので
$H_2O $(液)=$H_2O $(気)-QKJ
となりますね。
結果、右辺のQKJの符号はマイナスになります。
ところで液体から気体になることを蒸発といいます。
そして
$H_2O $(液)=$H_2O $(気)-QKJ
上記式は液体が気体になるときを表しているので蒸発を意味します。
上記式を見ると符号がマイナスになっているので
蒸発するときは熱を奪うということがわかります。
こういうのを蒸発熱といいます。
$H_2O $(液)=$H_2O $(気)-QKJ
こんなことがわかると
何がわかるか?というと、
お風呂に入ったら
いつかはお風呂から出てきますよね。
お風呂から出ると体を拭くと思います。
なぜなら自分の体にはお湯がついているからです。
もしあなたが体を拭かなかったらどうなりますか?
極端に考えて5時間くらい。
おそらく体についたお湯は乾くと思います。
なぜならあなたの体についたお湯が蒸発したからです。
よくお母さんからいわれませんでした?
「ちゃんと拭きなさい!風邪ひくよ!」って。
それは自然に体についたお湯を蒸発させると熱が奪われるからです。
それは
$H_2O $(液)=$H_2O $(気)-QKJ
とーQKJ(マイナスの符号)になっているからです。
風呂上がりに体がどんどん冷えるのは
水が気体になるときに熱を奪うからです。
ということは水が気体になるときに熱を奪うという性質を利用して
何かできないだろうか?
と考えると、ありますね。
たとえば、逆に水蒸気($H_2O $(気))が液体($H_2O $(液))
になるときに熱が出てくるんでしたね。
$H_2O $(液)+QKJ=$H_2O $(気)
この性質をうまく利用してみましょう。
熱を上げて{$H_2O $(液)+QKJ}、
気体に変えておいて{$H_2O $(気)}、
さらに気体を液体に変えるときに熱が出てくるわけですよね。
熱を上げて液体を気体に変える反応
$H_2O $(液)+QKJ=$H_2O $(気)
気体を液体に変える反応
H_2O $(液)=$H_2O $(気)-QKJ
つまり、熱を上げて気体に変えておいて
気体を液体に変えるときに熱が出てくるということです。
たとえば太陽光であたためて
水蒸気にしておいて、水蒸気が液体になるときに熱が出てくるわけですから
この出てきた熱を寒い時に利用するという手がありますよね。
蒸発熱を利用することで
いろんな可能性が広がりますね。
それから氷を加熱すると水になりますよね。
氷+QKJ=水
上記式は左辺の符号がプラスになっています。
ということは水が氷になるときには熱が出ますよね。
大丈夫でしょうか?
氷=水ーQKJ
と右辺にあるQKJはマイナスの符号になってますからね。
たとえば冷凍庫で水を凍らせると熱が出ているわけです。
この出てきた熱を冷凍庫は奪ってくれて
うまく帳尻を合わせてくれているのです。
こういったことが理解できると
蒸発熱の場合の符号が良く理解できると思います。
以上で解説を終わります。
続いて熱化学方程式について解説します。
・水の蒸発熱44kJ/molがプラスかマイナスか間違えずに熱化学方程式で表す考え方
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