・単体と化合物の例
・単体、純物質と混合物の違い
などについて解説しました。
単体と化合物の例と単体・純物質・混合物の違いについて
⇒単体と化合物の例と単体・純物質・混合物の違いをわかりやすく解説
今回の記事では原子量と質量数の違いについて分かりやすく解説します。
原子量と質量数の違いとは?
「原子量と質量数の違いについて述べよ」という問題が出た時に
「質量数は原子の質量、原子の重さ」と解答したら留年確定かもしれませんね(苦笑)。
前回の記事で同位体について説明しました。
⇒同位体とは?塩素と炭素を例に分かりやすく解説
塩素である、${}^{ 35 } Cl $、${}^{ 37 } Cl $は3:1の割合で地球上に存在しています。
35の塩素原子が3つあったら37の塩素原子は1つあるということです。
これは事実なので理屈なんてありません。
ちなみに一般的には${}^{ 35 }{}_{ 17 } Cl $、${}^{ 37 }{}_{ 17 } Cl $みたいに
左下に原子番号の17を書かずに${}^{ 35 } Cl $、${}^{ 37 } Cl $と書くことの方が多いです。
$ Cl $って書いたら原子番号が17番というのは自明だから説明不要。
だからあえて書く必要がないってことです。
でも、左上の質量数を表す35や37は${}^{ 35 } Cl $、${}^{ 35 } Cl $みたいに書きますよ。
これは同位体として区別するのに意味があることですからね。
⇒同位体とは?塩素と炭素を例に分かりやすく解説
また、質量数がいくらかだってわかりませんからね。
とにかく${}^{ 35 } Cl $、${}^{ 37 } Cl $は3:1の割合で自然界に存在しています。
では塩素原子の重さってどうやって決めたらよいのでしょう?
塩素原子全体としてどうしようか?と考えましょう。
すると、${}^{ 35 } Cl $、${}^{ 37 } Cl $は3:1ですから、
全体を3+1=4と考えると
${}^{ 35 } Cl $は3/4(4分の3、全体4のうち3を占める)ですね。
同様に${}^{ 37 } Cl $は1/4(4分の1)です。
ということは
塩素原子の重さ=35×3/4+37×1/4となります。
上記式を計算すると35.5となりますね。
確率統計に詳しい方なら理解しやすいでしょう。
質量数が35の塩素になる確率は全体4のうちの3だから4分の3、
質量数が37の塩素になる確率は全体4のうち1だから4分の1ですね。
「わかりにくいよ」という方は加重平均という考え方もありますよ。
重さが35の犬がが3匹いたとしましょう。
そして重さが37の犬が1匹いたとしましょう。
全員で4匹いるので4で割るわけです。
すると、加重平均(平均の重さ)はいくらか?となったら
(35×3+37×1)÷4=35.5
となりますね。
4匹の平均の体重は35.5だったよっていう考え方ですね。
計算して出てきた35.5という数字が原子量です。
わかりましたか?
${}^{ 35 } Cl $、${}^{ 37 } Cl $と$Cl $の左上についている数字が質量数で
そこから計算して出てきた数字が原子量です。
明らかに違いますね。
私の息子は現在中学2年生。
この記事を書いている5月中旬というのは中間テストが始まる時期です。
もし中間テストを受けた後、
理科と数学と英語の添削された答案が返ってきたとしましょう。
結果として理科が90点、数学が80点英語が40点だったとしましょう。
平均点は何点になりますか?(90+80+40)÷3=70点ですね。
この平均点70点が原子量です。
塩素原子の原子量は35.5でした。
でも、35.5という重さの塩素原子はありません。
塩素原子は質量数が35か37です。
でも、それでは収拾がつかないから、とりあえずひっくるめて35.5にしようと決めたのが原子量です。
さっきの平均点の話に戻ると
70点の答案はありません。
理科が90点、数学が80点、英語が40点でしたからね。
この理科が90点、数学が80点、英語が40点の答案それぞれは質量数です。
平均点70点が原子量です。
ここまで解説したら原子量と質量数の違いがわかったかと思います。
「質量数の原子量の違い、難しい」って思った方もいるかもしれません。
安心してください。
私が書いている記事では少なくとも質量数が登場することなんてほとんどありません。
最近は有機化学の解説が多いですが、
有機化学で質量数が登場することなんてほぼありませんし
質量数の理解がないから有機化学が分からないなんてほとんどありません。
基本的には原子量の理解さえあればOKです。
以上で解説を終わります。