前回の記事では水素結合とは何か?
かなり詳しく解説しました。
⇒水素結合とは?わかりやすく解説

前回解説したように、水が周りにいっぱいあると、
水素結合が発生し、結合がより強固になります。
前回の記事では水の例を元に水素結合について説明しましたが、
今回は髪の毛と水素結合の関係について説明してみたいと思います。
もしかしたら「髪の毛と水素結合ってどんな関係があるんだよ!」
って思った方もいるかもしれません。
でも、髪の毛と水素結合の関係は切っても切れない関係にあるのです。
例えば、寝ぐせ。
水素結合のことを理解したら朝起きて、
髪の毛がボッサボサになる可能性をかなり低くすることができます。
ちなみに
・ペプチド結合
・S-S結合(システィン結合)
・イオン結合
・水素結合
の4種類があるので、先に水素結合の説明をした後に、
残り3つの結合の話もさせていただきます。
髪の毛と水素結合の関係

詳しい解説は前回の記事を読んでいただきたいのですが、
ここでは簡単に説明させていただきますと、

上記図のように
⇒水素結合とは?わかりやすく解説
水は水素結合のおかげで気温が上昇していくことで
氷の状態から水の状態になれ、
そして水蒸気(気体)になれるのです。
こういった水素結合が水だけでなく髪の毛でも起こります。
・髪の毛が乾いている状態・・・水素結合が起きていて動きが硬い
・髪の毛が濡れている状態・・・水素結合が切れ、柔軟な状態
そしてちょっとややこしい話ですが、髪の毛を濡らすと水素結合が切れ
ドライヤーで乾かすとまた水素結合が復活するのです。
水素結合が切れると普段の髪の毛の癖がなくなり
自由自在に髪型をいじれますが、乾燥して水素結合が復活すると、
普段の髪の毛の癖が復活します。
美容師さんはこの化学的な法則を理解しているため、
髪の毛を濡らして、髪の毛の癖がない状態をつくって
お客さんの望みの髪形になるようなカットをしていくわけです。
そして、ドライヤーで乾かしながらストレートにしたりカールにしたり
ブローしたりできるのです。

水素結合というのは共有結合と比べたら、かなり弱い結合です。
⇒共有結合とは?簡単に例を挙げながら解説します
人間関係でいったら共有結合が親友、家族の絆で
水素結合というのは顔見知り程度の絆です。
なので、髪の毛が濡れただけで簡単に水素結合は切れてしまいます。
そして面白いことに、濡れたら水素結合は切れますが乾いたら、また水素結合が復活します。
つまり、髪の毛を洗って、そのあとドライヤーで乾かしながら
髪型を整えるのは『水素結合』の性質を利用している行為なんですね。
逆に水素結合の性質を知らないと寝ぐせの原因になってしまいます。
夜、シャンプーして髪の毛が濡れた状態から
ドライヤーで中途半端に乾かすとか、まったく乾かさずに寝ると大変なことになります。
寝ている間に中途半端に水素結合が起きてしまい、ひどい寝ぐせになってしまうわけです。
もう一度、水素結合と髪の毛の関係について説明しますと、
髪の毛が濡れると水素結合が切れ、形状記憶合金みたいになるのです。
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そして、髪の毛を乾かすと、今度は形が完全に固まってしまいます。
だから中途半端な状態で髪の毛の形状を記憶させてしまうと
その後、もう1回髪の毛を濡らさないと、そう簡単に髪型を変更できなくなります。

だから雨の日だと、朝きちんと髪の毛を整えて外出したのに、
昼頃になったら、髪型が崩れてしまった経験ってないですか?
それは水素結合が雨の湿気で切れてしまったためです。
真夏、汗で髪の毛がぐしゃぐしゃになるのも水素結合が関係しています。
プロが髪の毛を切る時、水素結合を利用している

ここまで髪の毛と水素結合の関係について解説してきました。
髪の毛が濡れている状態は水素結合が切れている状態です。
形状記憶合金みたいな状態です。
だから、髪の毛が濡れているときっていうのは髪の毛が柔らかく柔軟性があります。
この状態は美容師も髪の毛を切りやすいです。
美容師さんの腕の疲れも減らすことができますし、
髪の毛への負担も減らすことができます。
まさに髪の毛を濡らしてカットするのは一石二鳥状態なのです。
でも、普段の髪の毛は乾いています。
だから濡れた状態だけで髪の毛をカットし終えてしまうと
最終的にちょうどよい髪の毛の長さかわかりません。

そこで髪の毛を一度、切り終わったら
ドライヤーで乾かして、最終調整をするのです。
その他の結合と髪の毛の関係

・水素結合
・イオン結合
・S-S結合(システィン結合)
・ペプチド結合
の4種類があると説明しました。
ここまで水素結合について説明しましたので
最後に簡単に残り3つの結合について解説しますね。
まずイオン結合から。
イオン結合について詳しく知りたい方はこちらを先にご覧ください。
⇒イオン結合とは?簡単にわかりやすく解説
イオン結合はpH(ピーエイチと読みます)が関係しています。
pHって酸性とかアルカリ性とかいう話のことです。
髪の毛が傷む結果、pHのバランスが崩れます。
するとイオン結合が切れてしまうのです。
ちなみに髪の毛にとってちょうどよいpHは4.5から5.5です。
化学的に言うと弱酸性です。

このイオン結合の性質を利用するのがパーマです。
パーマつながりでいうと次のS-S結合(システィン結合)もそうです。
パーマっていろんな薬剤を使うのですが、
1つの薬剤で結合を切って、もう1つ(2剤)で結合がつながります。
最後にペプチド結合ですが、
髪の毛にとってペプチド結合がもっとも重要な結合になります。
あなたが髪の毛の立場だったらそう思うはず。
ある意味、髪の毛は人間にとっての心臓くらい重要な結合です。
もしペプチド結合が切れたら、二度とその髪の毛は復活できません。
ペプチド結合は心臓や脳みたいな重要な結合だと覚えておいてくださいね。