前回の記事では酸塩基の定義について解説した後、
酸塩基をさらに分類するために価数について解説しました。
酸塩基をさらに分類する方法として
価数以外に電離度があります。
この記事では酸塩基を電離度の公式をご紹介した後、
大学受験で出題されやすい電離度を一覧形式でご紹介します。
電離度の公式
たとえばビーカーの中に塩酸が入っているとしましょう。
ありのまま起こったことを話すぜ…
今僕は実験室でニトロベンゼンと塩酸を反応させてる横で、500mlビーカーでお汁粉を食べている… pic.twitter.com/REJe9yg6Dj— いにゃゆう (@biophychemistry) December 27, 2016
中には$H^{+} $や$Cl^{ー} $が入っています。
ただ目には見えません。
でもこの記事では肉眼で$H^{+} $や$Cl^{ー} $が
見えると思って解説をすすめていくことにします。
ビーカーの中では$HCl $が
$H^{+} $と$Cl^{ー} $に分かれて存在しています。
しかも
$HCl $⇒$H^{+} $+$Cl^{ー} $
$HCl $⇒$H^{+} $+$Cl^{ー} $
$HCl $⇒$H^{+} $+$Cl^{ー} $
と3つ存在しているとしましょう。
こんな感じで3つとも
$HCl $は$H^{+} $と$Cl^{ー} $に分かれているとします。
つまり100%反応しているということです。
言い換えると100%電離しているということです。
ちなみに電離とは水に溶かすと
陽イオンと陰イオンに分かれてしまう現象のことです。
なので$HCl $が$H^{+} $という陽イオンと$Cl^{ー} $という
陰イオンに分かれているので、これは電離です。
話を元に戻します。
$HCl $⇒$H^{+} $+$Cl^{ー} $
$HCl $⇒$H^{+} $+$Cl^{ー} $
$HCl $⇒$H^{+} $+$Cl^{ー} $
なので、3個の$HCl $のうち3個とも電離しているため
3個/3個×100=100%
100%電離しているということです。
何個溶かしてそのうち何個電離しているか?
を表す部分が電離度になります。
ところで電離度はα(アルファ)と書くことが多いです。
なのでこの記事で解説したHClでは
3個/3個の部分が電離度αに該当します。
だから100個溶かして100個電離すれば
電離度αは1ですし
1000個溶かして200個電離すれば200/1000=0.2となります。
こんな感じで電離度αというのは何個溶かして
何個電離したか?を表すものをいいます。
また電離とはくどいようですが
span style=”background-color: #ffff00;”>水に溶かすと
陽イオンと陰イオンに分かれてしまう現象のことです。
なので電離度の公式としては
電離度α=電離した酸・塩基の数/溶かした酸・塩基)の数
多くは物質量molで表します。
となります。
試験に出やすい電離度一覧
ここでは試験に出やすい電離度を一覧でご紹介します。
まず電離度αが大きい酸と小さい酸から。
電離度αが非常に大きい酸を強酸といい、
非常に小さい酸を弱酸といいます。
強酸はいっぱいありますが、
試験対策としては3つ覚えておけばとりあえず大丈夫です。
あとは模試なんかで登場したものを都度覚えていけばよいでしょう。
電離度一覧(1)強酸
・$HCl $(塩酸)
・$H_2SO_4 $(硫酸)
・$HNO_3 $(硝酸)
この3つを覚えておきましょう。
電離度一覧(2)弱酸
電離度αが非常に小さい酸を弱酸といいます。
強酸以外の酸を弱酸という言い方もできます。
覚え方としては塩酸、硫酸、硝酸以外の酸でOKですが、
具体的には以下のものは覚えておいて損はないでしょう。
・$CH_3COOH $(酢酸)など
塩酸、硫酸、硝酸以外で『~酸』とつくもののほとんど
です。
あと「~酸」とつかないけど
弱酸に該当するものとして$H_2S $(硫化水素)があります。
電離度一覧(3)強塩基
強塩基とは溶かした塩基がほとんど100%近く電離するもののことです。
電離度αが非常に大きいわけですね。
・アルカリ金属にOHがついたもの(水酸化物)
⇒NaOH(水酸化ナトリウム)とかKOH(水酸化カリウム)
・アルカリ土類金属の水酸化物(OHがついたもの)
⇒$Ca(OH)_2 $(水酸化カルシウム)や
$Ba(OH)_2 $(水酸化バリウム)
です。
アルカリ金属って周期表の一番左の縦の列に該当する元素であって
水素Hを除くもののことです。
たとえばNaOHとかKOHなどが強塩基に該当します。
アルカリ金属とは周期表左から2番目の縦の列に該当する元素のことであって
Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)を除いたもののことです。
アルカリ土類金属にOHがくっつくものとして
たとえば$Ca(OH)_2 $(水酸化カルシウム)とか
$Ba(OH)_2 $(水酸化バリウム)などがあります。
電離度一覧(4)弱塩基
電離度αが非常に小さい塩基を弱塩基といいます。
先ほど挙げた強塩基の具体例であるNaOHや$Ca(OH)_2 $を覚えると、
「ということは金属にOHがついたら全部強塩基なんだ」と
金属にOHがついたら強塩基と思ってしまう方が一定数います。
でもそんなことはありません。
たとえばFe(鉄)にOHがつくと$Fe(OH)_3 $(水酸化鉄)ですが
水酸化鉄は弱塩基です。
他にもCuにOHがついた$Cu(OH)_2 $も弱塩基です。
あと弱塩基として有名なものにアンモニア($NH_3 $)があります。
・$Fe(OH)_3 $
・$Cu(OH)_2 $
・$NH_3 $
です。
以上で解説を終わります。
続いて電離度の求め方について解説します。